エロール・ル・カイン    絵画好きな方にTop

イメージの魔術師といわれています。 1941年にシンガポールで生まれ、少年時代、 インド、日本、香港、サイゴンと転々とします。 東洋と西洋の混ざり合ったエキゾチックな感じは、 少年時代に目にしたものに拠るのかもしれません。 10代半ばに広告会社で作ったアニメーションが認められて以来、 才気溢れる作品を作り続けました。 「ハイワサのちいさかったころ」で、ケイト・グリナーウェイ賞を受賞し、 名実ともにイギリスを代表する絵本作家となりました。 残念ながら、1989年48歳で亡くなりました。

さくらももこさんが、ル・カインのことを書いた本があります。
憧れのまほうつかい(新潮文庫)
さくら ももこ著

えほんミュージアム清里 こちらにル・カインの特別展示室があります。  
「ハーメルンの笛ふき」
「アラジンと魔法のランプ」
「白猫」
「キャッツ」 「フォックスおくさまのむこえらび」
「1993年のクリスマス」 「美女と野獣」
「こまったこまったサンタクロース」「アルフィとくらやみ」
「まほうつかいのむすめ」「サー・オルフェオ」
「シンデレラ」「アーサー王の剣」
「いばらひめ」 「ぼくのいもうとみなかった?」
「ハイワサのちいさかったころ」「魔術師キャッツ」
「キャベツ姫」「キューピッドとプシケー」
「雪の女王」
「ね、うし、とら・・・・十二支のはなし」
「おどる12人のおひめさま」
「イメージの魔術師エロール・ル・カイン」


既読未読


「ハーメルンの笛吹き」 ほるぷ出版
オンライン書店ビーケーワン:ハーメルンの笛ふき ハーメルンの笛ふき
サラ・コリンぶん・ステファン・コリンぶん・エロール・ル・カインえ・かなせきひさおやく

グリムでお馴染みのお話です。
ル・カインの絵は、中世の絵画を思わせます。
ときには、フェルメールの構図を思わせるものも
あります。
でも、ねずみに脅威を感じている人々を
ややユーモラスに、描いています。
そして、笛吹きの不気味さ。
本当に、ル・カインはうまい!と思います。



「アラジンと魔法のランプ」 ほるぷ出版
オンライン書店ビーケーワン:アラジンと魔法のランプ アラジンと魔法のランプ
アンドルー・ラング再話・エロール・ル・カイン絵・中川千尋訳

Amazon

このお話も千夜一夜物語でお馴染みです。
ル・カインの絵は、東洋と西洋を織り交ぜた
雰囲気を持っています。
その雰囲気が、中東という土地を
イメージさせるのにぴったりです。



「白猫」 ほるぷ出版
Amazon
オンライン書店ビーケーワン:白猫 白猫
〔オーノワ夫人原作〕・エロール・ル・カイン再話・絵・中川千尋訳

まさに、魔法使いです、ル・カインの絵は。
この本の、白猫もとても、ビューティーです。

お話は、おとぎ話です。
ペローなどと同時代のオーノワ夫人が、
書いた原作を、ル・カインが再話した物です。
原作より、逸話を少なくしているそうですが、
ちょうどよいくらいのお話になっています。
3人の王子様が、王様の命令で、犬とお后を
見つけるというストーリーです。
最後は、おとぎ話という感じで終わります。




「キャッツ」 ほるぷ出版
オンライン書店ビーケーワン:キャッツ キャッツ
T.S.エリオットぶん・エロール・ル・カインえ・たむらりゅういちやく

Amazon

劇団「四季」の「キャッツ」公演、観た方もたくさんいらっしゃるでしょう。
(私は観ていませんが。)
エリオットの詩は、ミュージカル「キャッツ」の原詩だそうです。
ただし、絵本の訳は、「四季」のミュージカルを参考に
しているそうです。



「1993年のクリスマス―びっくりぎょうてん、ふしぎなお話し―」 ほるぷ出版
オンライン書店ビーケーワン:1993年のクリスマス 1993年のクリスマス
レスリー・ブリカスぶん・エロール・ル・カインえ・きたむらたろうやく
1993年のクリスマスというと、
今では、過ぎたクリスマスになりますが、
この本が書かれたときは、まだ、近未来でした。

クリスマスにサンタが世界中の子供たちに
プレゼントを配るのは、現在どれほど大変かを
サンタが、話してくれる物語です。

国境をこえるために、書類が山ほど必要だったり、
駐車違反で捕まったり、子供たちが、欲しいおもちゃは、
科学の知識を必要としていることなど、など・・・・。

サンタは言います。
「わしの話がおわったら、
まだ地球上に、善意というものがあるのかどうか、
きみの考えを、聞かせてくれんか、ありのままに。」

表紙には、サンタが頭を抱えて、
悩んでいる絵が、描かれています。


「こまった こまった サンタクロース」 ほるぷ出版
オンライン書店ビーケーワン:こまったこまったサンタクロース こまったこまったサンタクロース
マシュー・プライスぶん・エロール・ル・カインえ・いわくらちはるやく
本を見た瞬間、これはル・カインの絵なの?
と思います。でも、可愛いサンタさんの絵もル・カインの絵です。
ほんわかと暖かくなるような、いい絵です。
一緒に描き込まれた小人が、「1993年のクリスマス」に
でてくる小人と同じです。

絵本は、扉を見つけて開いていくという
簡単な仕掛け絵本になっています。 


オンライン書店ビーケーワン:まほうつかいのむすめ 「まほうつかいのむすめ」 アントニア・バーバー/文 エロール・ル・カイン/絵 中川 千尋/訳
ほるぷ出版

ル・カインの絵本の中で、現在の所、この本が一番のお気に入りです。
お話も良いし、絵も東洋と西洋が入り混じって、いかにもル・カイン
らしくて。

作者のバーバーが、ベトナム戦争の孤児だった養女、
ジェマのベトナム名を、ヒントに書き上げた物です。
そのジェマの希望により、ル・カインの絵がつけられた
ということです。

まほうつかいと、むすめが誰もいない山奥のお城に暮らしています。
むすめは、ただむすめというだけで、名前がありません。
まほうつかいは、すべてを魔法でかなえられるので、ふたりとも
何の不自由もなく、暮らしていました。

ところが、むすめはかすかな記憶に、自分が名前で呼ばれた
幼い時があることを、留めていました。
そして、母がどこにいるかを、知りたくなります。
まほうつかいは、永遠の若さを得る魔法を身に付けたくて、
ひとり、部屋にこもっています。

むすめはまほうつかいに、自分は誰なのかを聞こうとしますが、
はぐらかせれてしまいます。
でも、むすめは知恵を使い、ことりになって飛び立ちました。
山の向こうには、はたして・・・・。

まほうつかいは西洋風、むすめは東洋風、お城の様子は、時に日本風
だったり、中国風、ベトナム風と、様々です。それが、入り混じって、
魔法使いのお城らしく、雰囲気を出しています。

特にむすめは、十二単を着ている平安時代のお姫様風です。

「シンデレラ または、小さなガラスのくつ」  ペロー童話 中川千尋・訳 ほるぷ出版
Amazonにリンクしています。表紙はAmazonでご覧下さい。
誰もが知っているシンデレラのお話です。
ペローの原作を下に書かれたものですが、すこし違うところもあるそうです。

ル・カインの絵は、いつもそうですが1ページずつ切り取って額に入れて
飾りたいです。そのくらい素敵な絵です。
絵の中をよく見ると、最初のページからかぼちゃ、ねずみ、トカゲなどがいます。
また、この絵本の絵は、刺繍のように見えます。もちろんそれを意図して描いたものでしょう。

おはなしの最後に、継母の娘たちも幸せになっていますが、シンデレラって、
そういう最後だったのでしょうか。私は、このような最後とは思っていませんでした。


オンライン書店ビーケーワン:いばらひめ 「いばらひめ」  グリム〔原作〕 / グリム〔原作〕 / エロール・ル・カインえ / やがわ すみこ・やく ほるぷ出版
「眠れる森の美女」のお話です。グリムの原作によるものです。
ル・カインの絵は、どれも素晴らしいですが、特に「○○姫」と題名が付くものがいいです。
この絵本も、ため息が出るほど美しいです。絵の小さな隅々まで、細かく描き込まれています。
構成は見開きでひとまとまりですが、絵のページと文章のページになっています。
文章は四角く囲まれ、その周りにも細かな絵が描かれています。

訳者は、グリムの原作も参照し完璧な訳をしました。


オンライン書店ビーケーワン:ハイワサのちいさかったころ 「ハイワサのちいさかったころ」ヘンリー・ワズワース・ロングフェローぶん / エロール・ル・カインえ / しらいし かずこ・やく   ほるぷ出版
Amazon
ロングフェローという19世紀アメリカで絶大な人気を誇った詩人の詩に
ル・カインが絵を付けました。1985年のケイト・グリナーウェイ賞を受賞しています。

インディアンの神話を基にした詩です。ハイワサというインディアンの小さな男が、
月の娘ノコミスおばあさんにたくさんのことを教えてもらうお話しです。
神秘的なお話で、ほうき星の中に戦士をみたり、凍てつく冬の森の道に幽霊を見たり、
あらゆる動物の言葉を覚えたりというものです。

物語が神秘的で、ル・カインの絵も神秘的です。最もル・カインの絵は、いつもどこか神秘的ですが。
*インディアンの呼称について・・・ネイティブ・アメリカンという呼称なのかと思って、
調べてみましたが、この呼称は広くアメリカ生まれの人を指してしまいます。
また、インディアンの人々は、自らのことを「インディアン」または「アメリカインディアン」と呼ぶそうです。


オンライン書店ビーケーワン:キャベツ姫 「キャベツ姫」エロール・ル・カイン作 / 灰島 かり・訳  ほるぷ出版
Amazon
ル・カイン自身が書いた物語です。
とても怒りんぼの王様が、森の王に呪いをかけられてしまい、
口から出たことがすべて本当になってしまう、というお話です。

ル・カイン自身、「○○姫物語」が自分は得意だと十分に承知していたのではないでしょうか。
お話しは、一般的な昔話風ですが面白いですし、絵もいつもの通り素敵です。
題名どおり、キャベツになったお姫様が登場しますが、それでも、素敵なお姫様だと分かります。


オンライン書店ビーケーワン:雪の女王 「雪の女王」  ハンス・C.アンデルセンげんさく
ナオミ・ルイスぶん / エロール・ル・カインえ / うつみ よしこ・やく  ほるぷ出版

アンデルセンの「雪の女王」を元に、ナオミ・ルイスが、再話し直した物です。
実は、私はアンデルセンの「雪の女王」をしっかりと読んだ事がないので、
はっきりとした比較が出来ません。たぶん、ほぼ同じような内容になって
いると思いますが、確実な事を知りたい方は、原典に当たってみてください。

表紙は雪の女王です。表紙の女王には動きが無いので、無表情ですが、
絵本の中の女王は、もっと生き生きしています。
他の登場人物も、ル・カインらしい絵です。描き方は、丸や四角の中に、
挿絵を描き込んでいます。


オンライン書店ビーケーワン:ね,うし,とら……十二支のはなし 「ね,うし,とら……十二支のはなし」 
ドロシー・バン・ウォアコムぶん / エロール・ル・カインえ / へんみ まさなお・やく  ほるぷ出版

十二支のお話です。よく知られている十二支の話とは、
違いますが、中国民話だそうです。
この絵本のお話では、すでに十二支の動物は決まっています。でも、十二支の最初に来る
動物をねずみとうしで争うお話です。

シュン・ユーという神と人間が半分ずつの男が、中国の皇帝に命じられて、十二支の動物に
順番に聞いて回ります。ねずみと牛のどちらを一番の動物にするかを。
それぞれ、答えますが、結局5対5ということで、決まりませんでした。そこで、今度は
町の人に聞いて決める事になったのですが、そこで、ねずみはある知恵を働かせます。

皆さんご存知の通り、ねずみは十二支の筆頭ですね。ねずみの知恵が、勝ったのです。

絵は、中国風の絵ですが、ル・カインの絵はどこかエキゾチックな感じです。
ただ、すこし色付けが薄いので、大勢の子どもへの読み聞かせには、不向きだと思います。


オンライン書店ビーケーワン:おどる12人のおひめさま 「おどる12人のおひめさま」 
グリム〔原作〕 / エロール・ル・カイン画 / やがわ すみこ・やく  ほるぷ出版

ル・カインのお得意のお姫さまの物語です。
美しい12人のお姫様の謎を、貧しい兵士が解く話です。

12人のお姫さまは、いつも朝になると一晩中踊っていたように、靴がぼろぼろでした。
不思議に思った王さまが、その謎を解いた者に姫の一人を嫁にし、自分の跡継ぎにすると
いうお触れを出しました。次々に他所の国の王子たちが謎解きに来るのですが、期限の3日で、
謎を解くものはいませんでした。

そこへ、貧しい兵士が現れます。兵士は、道で親切にした老婆から、魔法の上着と助言を
もらっていました。上着は着ると姿が見えなくなるというものです。その上着を着て、
助言どおりにしたところ、お姫さまたちが夜どこへ出かけていくか、知る事が出来ました。
もちろん、王様に報告し、兵士はお姫さまと結婚して、幸せになりました。

絵本の仕立て方は、見開きが一つの場面で、どちらかに絵が描かれ、もう片方のページに
白く抜いた四角があり、その中に文字を入れています。四角の周りは、ほとんどが装飾的な
模様になっていますが、見開きで一つの絵の場合もあります。

お姫様の謎は、読んで見て下さい。このお話の前後が語られないので、ちょっと、消化不良の
感もありますが。


オンライン書店ビーケーワン:イメージの魔術師エロール・ル・カイン 「イメージの魔術師エロール・ル・カイン」 エロール・ル・カイン〔画〕 ほるぷ出版
ル・カインの絵本作品、アニメーターとしての作品、初期の作品などを収めた画集です。
ル・カインの絵についての解説も載っています。また、ル・カインの生涯、アルバム、著作目録など、
ル・カインファンなら、揃えておきたい画集です。

印刷も紙質も良いので、ル・カインを画家として絵を見たい方は、この画集で十分に楽しめます。
      
ページTop


以下の本は、未読です。出来るだけ早く読んで、 書評を書き入れるよう、準備中です。 
フォックスおくさまのむこえらび
コリン夫妻ぶん・コリン夫妻ぶん・エロール・ル・カインえ・やがわすみこやく
美女と野獣
ローズマリー・ハリスさいわ・エロール・ル・カインえ・やがわすみこやく

「アルフィとくらやみ」 評論社 (この本以外は、ほるぷ出版です。)

アルフィとくらやみ(評論社の児童図書館・絵本の部屋)
エロール・ル・カインえ・サリー・マイルズぶん・ジルベルトの会やく
サー・オルフェオ
アンシア・デイビス再話・エロール・ル・カイン絵・灰島かり訳
アーサー王の剣
エロール・ル・カイン文・絵・灰島かり訳
ぼくのいもうとみなかった?
エロール・ル・カインえ・マシュー・プライスぶん・いわくらちはるやく
魔術師キャッツ
T.S.エリオットぶん・エロール・ル・カインえ・たむらりゅういちやく
キューピッドとプシケー
ウォルター・ペーター文・エロール・ル・カイン絵・柴鉄也訳


絵画好きな方にTopページTop次へ

ル・カイン ゾーヴァオールズバーグバンサン ツヴェルガーいせひでこ熊田千佳慕黒井健