自由への希求  絵本館Top


「かさをささないシランさん」
「あなたがもし奴隷だったら」
「エリカ奇跡のいのち」
「彼の手は語りつぐ」
「秘密の道をぬけて」
「子どもにつたえる日本国憲法」
「白バラはどこに」


オンライン書店ビーケーワン:かさをささないシランさん 「かさをささないシランさん」  谷川 俊太郎・作  アムネスティ・インターナショナル作
いせ ひでこ・絵  理論社

アムネスティ・インターナショナルが、活動を知ってもらうために
作った絵本です。
でも、先入観無しに自然に読んで、違和感のない絵本です。
谷川俊太郎作になっていますが、会員が手伝う形で、作り上げました。

シランさんという、どこにでもいそうなちょっとカッコイイ青年が主人公です。
シランさんは、普通に生きています。お仕事も手際がよく、友達もたくさんいて、
あまり、ボランティアには興味がない生活です。
でも、それが普通でしょう。ボランティアは、あくまでもボランティアですから・・・。

シランさんは、テレビに映された戦争や飢えた子供たち、抑圧されている人々にも、
関心は示しません。自分とは違う世界だと思っていたのです。
ところが、ある日、シランさんは官憲に捕まります。何故か?
雨が降った時にかさを差さないと言う理由で。

あまりに理不尽です。でも、シランさんの暮らす国では、雨のときかさを差さないと、
法律違反になるのです。そして、シランさんは何年も何年も拘束され、やがて、友達も
仕事仲間も、シランさんを忘れていきます。

でも、知らない国の人々が、獄中のシランさんに励ましの手紙を書いてくれます。
シランさんのために、大臣に手紙を書いてくれます。
シランさんが、関心を示さなかったボランティアの人々です。

これが、アムネスティの仕事だそうです。
わたしも知りませんでした。人権についての団体です。

いせひでこの絵は、モノクロのデッサン風に、単色の色をつけています。
モダンな感じで、簡素な美しさがあります。

人権団体についてと身構えずに読めますので、機会があれば是非手にとって下さい。


オンライン書店ビーケーワン:あなたがもし奴隷だったら… 「あなたがもし奴隷だったら…」 
             ジュリアス・レスター文   ロッド・ブラウン絵    片岡 しのぶ訳  あすなろ書房

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この本は、最初のページから衝撃的です。
黒人が船から海へ投げ込まれる絵から始まります。正直にとても怖いです。

そして、「ちびくろさんぼ」が、なぜ書棚から消えていったのか、理解できます。
この本を読むまでは、「ちびくろさんぼ」は日本人にとっては、差別の意識がないので、
お話として読んでいいのでは、書棚から消し去るほどの神経質になることはないのに、と
思っていました。
でも、今は書棚から消えて当然と言う気持ちになりました。
まして、原作は別の名前で姿も違うのですから。
(ただし、やはり神経質になることはないという気持ちは、かわりません。
静に、消し去ればいいのです。無視という態度で)

作者レスターは、以前に「奴隷とは」という本を書いた大学教授です。
この絵本は、レスターがロッド・ブラウンの絵を見て、再び書くことがまだまだあると
強く心を揺さぶられ書いたものです。
それほど、ブラウンの絵は強烈です。奴隷を描いて見る者に訴えます。

そして、この本には、主題が二つあります。
400年にわたって存在した奴隷制度の実態を伝えること。
もう一つは、現代人が享受している自由の貴さとそれに伴う責任について。

この絵本を読んでいただくと、以上のことが自然に理解できます。
気分の良い絵本ではないけれど、読まなければいけない本、そんなところでしょうか。


オンライン書店ビーケーワン:エリカ奇跡のいのち 「エリカ奇跡のいのち」 ルース・バンダー・ジー文  ロベルト・インノチェンティ絵  柳田 邦男訳 講談社
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エリカとは名前です。ユダヤ人の女性が、自分がどうやって
生きられたのかを、著者に語る形をとっています。

表紙も中の絵もモノクロ写真のようで、色がありませんが、表紙に書かれた
「エリカ奇跡のいのち」という題名のところが、ピンク色になっています。
背表紙も同じ色です。
この色と同じ色が、中にもあります。エリカが包まっていた毛布の色です。

ただ本文全てがモノクロではなくて、中に2箇所だけ、カラーページがあります。
最初のページの現在の町の様子、最後のページのエリカが育った村の様子、の2箇所です。
そのカラーも、ヨーロッパカラーというのか、抑えた色合いです。

ユダヤ人が第二次大戦の時、迫害を受けたことは誰もが知っていますが、
エリカのように助かった子どもは、本当に奇跡でしょう。幾重もの意味で。

エリカは生まれたばかりに、両親とともにユダヤ人の収容所行きの列車に乗せられます。
両親は、列車の先に「死」しか待っていないと分かると、エリカだけでもと、列車の小さな窓から、
ピンク色の毛布に包んで投げ出したのです。
幸い、草の上に落ち、見ていた村人に拾われ、親切な女性の下で育ちます。

収容所の「死」を免れ、列車から落ちるという危険も成功し、親切な女性、
(この当時はユダヤ人の子どもを育てることは、死の危険が伴う行為でした。)
に育てられ大人になって、家族を作るのです。
奇跡以外の何者でもないでしょう。

この絵本の絵は、最初モノクロ写真かと思うほど緻密な絵です。
貨車の様子、有刺鉄線の感じなど映画を見ているような錯覚を覚えます。
(「シンドラーのリスト」を思い出しました。)
また、登場人物の顔が後ろ向きか、胸から下を描いているかで、見えません。
唯一赤ん坊のエリカのみが、画面の向こうから私たちを見つめます。
じっと。


オンライン書店ビーケーワン:彼の手は語りつぐ 「彼の手は語りつぐ」 パトリシア・ポラッコ文と絵 / 千葉 茂樹・訳  あすなろ書房
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130年間5代にわたって語りつがれてきた物語です。
南北戦争の時のお話です。作者のご先祖に当たるシェルダンは、南北戦争に従軍した時、
生死の境をさまようような怪我をします。この時、助けてくれたのが黒人のピンクスでした。
ピンクスは、奴隷でしたが逃げ出し北軍の兵士になっていたのです。
南北戦争の時、ピンクスのように逃げ出した黒人の奴隷で組織した隊があったそうです。

ピンクスは大怪我をして動けないシェルダンを、母親の所へ連れて行きます。
南軍に見つかれば、皆命がないという状況で、シェルダンの怪我が治るまで、自宅で
面倒をみてくれました。
ところが、シェルダンとピンクスで部隊に戻ろうとした時、悲劇が起きます。
南軍がやってきて、ピンクスの母親は殺されます。そして、部隊を目指して出かけたふたりも
南軍に掴まり、ピンクスは殺されシェルダンは捕虜になります。
やがて、シェルダンは故郷に帰ることができ、命の恩人であるピンクスの話を娘のローザに
何度も話して聞かせるのです。

白人のシェルダンは字が読めず、黒人のピンクスは字が読めます。ピンクスは、書物を
読むことによって、自分の本当の主人は、自分しかいないと認識します。また、戦争も
信念を持って戦っていました。ところが、シェルダンは強い意志を持って戦ってはいませんでした。
でも、生き残り子供や孫が生まれたのは、シェルダンです。シェルダンのこの話は、一族に語りつがれます。

作者は、「フォルカー先生ありがとう」と同じ、ポラッコです。ポラッコは、一族の話や、
自分の話などを多く絵本にしています。


オンライン書店ビーケーワン:秘密の道をぬけて 「秘密の道をぬけて」 ロニー・ショッター  千葉 茂樹・訳  あすなろ書房
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絵本ではなく児童文学です。
この本は、久々にどきどきしながら読みました。
短いですので、一時間もあれば読めるのですが、どきどきしっぱなしでした。
といって、あのめまぐるしいハリポタとは違って、じっくり考えさせられるお話です。

アメリカに奴隷制度があった頃のお話です。「地下鉄道」と呼ばれる奴隷を逃がすための
秘密の組織、当時実際にあったそうです。その「地下鉄道」の「駅長」「車掌」として
アマンダの両親は、活動していました。アマンダは、ある夜、表の騒がしさに目を覚まし、
両親の秘密を知ってしまいます。そればかりか、その後は両親を手伝います。

悪役として登場した人物が、意外なことをしたり、手引きをする人が来なかったり、
本当にはらはら、どきどきです。
そして、最後にカナダに逃げたハンナという奴隷だった少女から手紙が来ます。
これは、感動です。
こういう本を、子どもだけのものにしとくのは、勿体無いです。
是非、読んでみてください。


オンライン書店ビーケーワン:井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法 「井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法」  井上 ひさし文 / いわさき ちひろ絵   講談社
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日本国憲法を子どもにもわかりやすく解説したものに、いわさきちひろの絵を
挿絵としたものです。もちろん、いわさきちひろは故人ですので、
この本のために描かれた絵ではありませんが、とてもよく合っています。

日本国憲法の前文と9条を主に取り上げて、わかりやすく書き直してあります。
子ども向けとありますが、大人でも読みやすく、改めて憲法を読んでみると心
を新たにできるような気がします。


オンライン書店ビーケーワン:白バラはどこに 「白バラはどこに」 
ガラーツ〔著〕 / イーノセンティ〔著〕 / ロベルト・イーノセンティ絵 / 長田 弘・訳  みすず書房

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大二次世界大戦時のお話です。「白バラ」とは、少女の名前です。
白バラは、ドイツの小さな町に住んでいました。町に、たくさんの兵士がやって来て、町のはずれに
鉄条網に囲まれた建物を、白バラは見つけます。そこには、顔色の悪い子どもがたくさんいました。
白バラは、食料を運ぶようになりましたが、ある日、兵士は町を出て行きます。その日を最後に、
白バラは、姿を消しました。収容所の側で、射殺されたのです。

哀しい話ですが、淡々と語られます。おそらくその方が、読者の共感を得やすいのでしょう。
絵も、写真のように細かく描かれ、色の雰囲気などからも「エリカ」を思わせます。
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