しあわせ時間 『本のある幸せ』 絵本館Top

本のある生活は、とても幸せです。
図書館もゼッタイに必要です。
ゆっくりと、本を読む時間を持つことがどれほど幸せか、
大事な本を集めている図書館が、人の世にとって、いかに大切か、
を描いた作品を集めています。
どうぞ、ごゆっくりご覧ください。

「わたしのくまさんに」「としょかんライオン」
「バスラの図書館員」「エリザベスは本の虫」
「オオカミだって・・・?」「としょかんたんていゆめきちくん」
「としょかんのねこ」「ルリユールおじさん」


オンライン書店ビーケーワン:わたしのくまさんに 「わたしのくまさんに」 デニス・ハシュレイ/文  ジム・ラマルシェ/絵  今江祥智/訳 BL出版
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図書館で手に取ったとたん、いい感じの絵本と思いました。
中を見ずに表紙だけで何となく、素敵なお話だなと感じました。
(いつもそうだけど、今回の本は特に)
感じたとおり、何度読み返しても、その度に素敵だと思える絵本です。

あちこちの書評では、女性とくまの切ない友情と書かれていますが、
私は、本がもたらす幸せが、描かれていると思います。もちろん、女性とくまの
友情も描かれていますが。

森の若いくまが、森の中に避暑に来ている女性(若すぎず、年寄りでもない)に、
本の読み聞かせをしてもらい、秋になると、女性が置いていってくれた本を巣穴に
運び込み、冬の間中本を仲立ちに、女性の声を聞き続ける、というお話です。

この絵本は、不思議な副詞が使われています。そこが、とても魅力的です。
「くまはゆわんとふりむいた。」
この表現大好きです。本文中、ブルーの字は点が付いています。
こんな副詞が幾つか出てきます。普通使わないかなと思う言葉ですが、
使われている箇所では、表情や心情が伝わり、納得の使い方です。
でも、これは翻訳絵本なので原文はどんな言葉なのか、知りたくなりました。
(原文見ても分からないけど・・・(^^ゞ
翻訳者の素晴らしさです。

柔らかい絵の感じと共に、柔らかな文章も味わってください。


オンライン書店ビーケーワン:としょかんライオン「としょかんライオン」 

Amazon       ミシェル・ヌードセンさく / ケビン・ホークスえ / 福本 友美子やく  岩崎書店

街の図書館にライオンがやってきます。
どこからきたのかは、最後まで語られません。でも、ごく自然にやってきます。
ライオンは、きまりを守る限り、図書館にいてよいという事になりました。

ライオンは、自由に歩き回り、絵本のへやで、お昼寝をしました。図書館には、
ライオンが来た時の、きまりなどないのです。
さて、お話の時間になると、ライオンは起きて子どもと一緒に、お話を聞きます。
それから、ライオンは毎日図書館にやってきます。そして、お話の時間まで、本の
埃を払ったり、封筒を張る手伝いをして、お話の時間を待ちます。すっかり、図書館の
人気者になりました。でも、なんとなく面白くないのが、職員のマクビーさんです。
     
そんなある日の事、ライオンは館長のメリウェザーさんの手伝いをしていたところ、
メリウェザーさんが、椅子から落ちて怪我をしてしまいます。急いで、マクビーさん
を呼んで来るように頼まれるのですが、マクビーさんは、ライオンが小さく鳴く声
では、気が付かないフリをします。やがて、ライオンは仕方なく、大きな声で、
今までで、一番大きな声で吠えました。

そして、ライオンはうなだれて外へ出て行きます。きまりを守れなかったのですから。

館長さんは腕の骨を折りましたが、仕事には差し支えません。でも、その日以来
元気がなくなりました。ライオンが来なくなったのです。そう、きまりを守らなかった
からです。でも、今ではマクビーさんも、あの時は仕方がなかったのだと、思っています。
きまりを守る事も、時によるのだと。

さて、この後の続きは・・・・。是非、ご自分でお読みください。

絵は、デッサンに水彩で色付けをしたもので、表情がとてもよく表されたものです。
やさしいタッチで、見るものの心を自然に和ませる感じです。
そして、ライオンのふさふさの毛も、触ってみたいと思わせるほど写実的な絵です。
あんなライオンがいる図書館に行ってみたいと、誰もが思える、ほのぼのした感じです。

最後に、このメリウェザー館長は、ルピナスさんではないかと、思っています。
館長の机に張ってある絵が・・・・。 (。^_^。)/


オンライン書店ビーケーワン:バスラの図書館員「バスラの図書館員」 ジャネット・ウィンター絵と文   長田 弘・訳  晶文社
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副題に「イラクで本当にあった話」とあります。
イラクのバスラの図書館員アリア・ムハムンド・バクルさんのお話です。
イラク戦争当時(といっても、今も戦闘中ですが)ニューヨークタイムズ紙に報じられた
記事から生まれた絵本です。
作者は、「私、ジョージア」「九月のバラ」を書いています。

表紙は、ちょっと頑固そうなおばさんが本を、抱えています。この人が、アリアさんです。
バスラに戦火が迫ってきた時に、アリアさんは図書館の大事な本を守るべく、役所と掛け合います。
でも、役所は相手にしてくれません。
アリアさんにとって、(いいえ、人類全員にとって)図書館の本は、黄金より価値のあるものです。
アリアさんは、自分の車に図書館の本を少しずつ移し始めましたが、戦火が迫ってくると、お役人も
兵士も図書館員も皆、図書館を見捨てて逃げました。残ったのは、アリアさんだけでした。

アリアさんは、迫ってくる戦火に「本を守りたい」と隣のレストランのアニスさんに、助けを求めます。
そして、一晩かかって、塀越しに3万冊の本をレストランに移しました。
レストランの従業員と、近所の人たちで。本を移して9日後に図書館は燃やされましたが、本は、
こうして守られました。

その後、本を自分の家と、友達の家に運びます。
「アリアさんは、戦争が終わるというのぞみをすてません」というページは、
平和なチグリス、ユーフラテス川を想像させる絵です。

現在、アリアさんは心臓病で療養中ですが、図書館の再建を見るまでは、と、
頑張っているそうです。


オンライン書店ビーケーワン:エリザベスは本の虫「エリザベスは本の虫」 
Amazon    サラ・スチュワート文 / デイビッド・スモール絵 / 福本 友美子・訳  アスラン書房
サラとデイビッドは、夫婦で作品を作っています。「リディアのガーデニング」も
二人の作品です。
この絵本のはじめに「実在のメアリー・エリザベス・ブラウンに捧げる」とあります。

エリザベスという本の大好きな女性のお話です。何より本を読むのが好きで、
子供らしい遊びもせず、年頃にデートもせず、もちろん独身で、気が付いたら、
本で部屋がいっぱいで、ドアもふさがってしまいました。
エリザベスは潔い解決方法を見つけます。
全てを町に寄付したのです。町には「エリザベス・ブラウン記念図書館」が出来ます。
それからエリザベスは、お友達の家に住みながら、本を読んで、読んで、読みふけったのです。

とてもうらやましいお話です。私もエリザベスのように暮らしたいです。
もっとも、ミニエリザベス部屋風には、本が積まれていますが、私の部屋も。

「リディアのガーデニング」も同じでしたが、見開きにも絵があります。
本棚の絵です。それも画面いっぱいに大きな書棚です。それを見ただけで、
本好きはため息が出そうです。
絵も水彩の感じの良い絵で、ページがアルバムの写真風にデザインされています。
エリザベスのアルバムなのでしょう。


オンライン書店ビーケーワン:オオカミだって…!「オオカミだって…!」
Amazon       ベッキー・ブルーム作 / パスカル・ビエ絵 / 中井 貴惠・訳  あかね書房

字の読めないオオカミが、本を読んだり、読んであげたりする楽しさを知るお話です。
読み聞かせの活動をしている中井貴惠の訳です。

お腹をすかせたオオカミが、ウシ、アヒル、ブタをみつけて食べようと思います。
ところが、この三匹は本を読んでいて、オオカミを一向に気にしません。
こんな事ははじめてと、オオカミもびっくりします。でも、本が読める動物だけの
広場だと、相手にされず、オオカミも本を読めるようになろうと、決心します。

最初は、字が読めるという程度でしたが、次第に三匹にお話をせがまれるほどに
上達します。その過程が、楽しく描かれていてます。

読み聞かせをしている人などは、大喜びの本です。本の楽しさ、読み聞かせの楽しさを
伝えていますが、決して説教くさくない楽しい本です。


オンライン書店ビーケーワン:としょかんたんていゆめきちくん「としょかんたんていゆめきちくん」 Amazon      J‐B.バロニアンぶん / L.L.アファノえ / 佐藤 見果夢やく  評論社
表紙から、どんな動物を考えますか?
お風呂に入って、本を読んでいる動物、「バク」のゆめきちくんです。
バクだからゆめきちくん、これは翻訳絵本ですが、外国でもバクは夢を食べると
言われるのでしょうか?この翻訳は、登場人物も「本間さん」「長田さん」など、
日本人風の名前です。こういう翻訳も楽しいですね。

お話は、本の大好きなゆめきちくんが、いつも行く図書館で事件を解決するという、
ものです。動物の国のようで、登場人物は、擬人化された動物たちです。

絵は、裁ちきりの2ページ見開きいっぱいに描かれています。
とても迫力があり、奥行き感も十分で、ゆめきちくんと一緒に図書館内を
歩き回っている感じがします。

とにかく、表も裏も見返し部分に素敵な本が並んだ恩棚が描かれて、
それを見ただけでも、幸せ気分になります。本好きなら。(^o^)


オンライン書店ビーケーワン:としょかんのねこ「としょかんのねこ」 
みやかわ けんじ・さく / たばた ごろう・え / おの みちよ・ぶん  新世研

片田舎の図書館に、猫の家族が、すんでいました。
猫の兄弟のなかの一番末の、猫は、世界各地のことを本で見て、冒険にでることを
考えていました。ちょうど、図書館が引越しと言う時に、トラックに乗って出かけることに。
着いた先は、大きな町です。そして、そこで自分の事を「フレンド」と呼ぶおじさんに
猫は出会います。

おじさんは、出版社を経営していますが、たくさんの国へも出かけています。
ここにいれば、たくさんの国を見て歩く事が出来るかもしれないと、猫は、
胸を膨らませています。

「さく」のみやかわけんじは、ブラジル生まれです。来日して40年、実際日本の各地を
みて歩いています。現在は出版社を経営しています。おそらく、猫と一緒に。(^^ゞ


「ルリユールおじさん」  いせ ひでこ・作   理論社
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「ルリユール」とは、本の製本、装丁を手作業で行う職人のことです。
今では、パリでも機械化が進み、すべての工程を手仕事でできる職人は
数が少なくり、ひとけただと「あとがき」にあります。
     
この絵本では、一人の少女と一人のルリユールが出会い、少女の本を
直す過程を物語にしています。パリの街角に立っているかのような絵で、
綴られる物語は地味ですが、興味深い物です。

絵本は前半、左ページに少女のこと、右ページにルリユールの老人が
描かれています。同時刻に二人がどの場にいて、何を考えて、そして、
出会うことになるかを、時間を追って中継しているようで、この時の二人の様子が、
パリの街の風景の中に描かれ、パリを散策してしているようです。

ルリユールのおじさんに少女が、植物図鑑を直してもらう後半は、
雑然とした仕事場の様子と、製本の仕方が丁寧に一行程ずつ描かれ
ています。少女とルリユールのやり取りとともに、作業の工程が
描かれていますので、一つずつ楽しく行程を追っていけます。
まさに、ルリユールが手作業である事が、よく分かります。
こぶのある無骨な手と製本される本だけで描かれているページは、
特に印象深いです。

翌日、本はきれいに仕上がり、少女の手に戻されます。本には新しい表紙が
付けられ、新しい名前がついていました。
     
「ARBRES de SOPHIE ソフィーの木たち」

アカシアのページが、表紙に生まれ変わり、金の文字で、題が書かれています。
最後のページは、少女が成長し植物学者になっても、ルリユールおじさんの
製本してくれた植物図鑑を手にしている絵で終わります。
「おじさんの作ってくれた本は、二度とこわれることはなかった。」

この絵本を読むと、本好きは、このルリユールが装丁した本が欲しくなります。
絶対に・・・・!!
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