神様たちのお話   絵本館Top

神様たちのお話を集めました。 所謂神話だけでなく、神様が主人公と思われる本も リストアップしました。いろいろな神様のお話を楽しんで下さい。
アマテラス
くにのはじまり
クリスマスのはじまり
イエス・キリスト物語
シャカ
えびすさんと六人のなかまたち
ぱんぷくりん 鶴の巻
青い馬と天使
たいせつな きみ
楽園
「いつも だれかが
「ギルガメシュ王ものがたり
「ギルガメシュ王のたたかい
「ギルガメシュ王さいごの旅
「わがままな大男
「カミさま全員集合!
「女神イシス」
「フィンの伝説」


オンライン書店ビーケーワン:アマテラス 「アマテラス」  東 逸子・絵 / 舟崎 克彦・文  ほるぷ出版

まず、東逸子の絵に惹きつけられます。
その美しいこと、まさに神話世界です。おそらくエッチングと思うのですが、
切り取って額装したくなります。表紙にも使われている絵は、アマテラスが
天岩戸を少し開いたところですが、周りの闇の色が、アマテラスによって、
少しだけ明るさをつけた色になっています。細く開いた光は、希望の色を
見せて美しく輝きます。

お話は、記紀の天岩戸のお話です。アマテラスが生まれたところから、
スサノオが高天原を追われるまでです。
文章もわかりやすく書かれているので、記紀のお話を知らない人でも
楽しめます。

なお、この絵本は「世界の神話絵本」というシリーズで、
アマテラスを含め8冊あります。
旧約聖書2、エジプト、アステカ、ギリシャ、インド、ケルト
の神様たちのお話です。


「くにのはじまり」日本の神話第一巻 赤羽末吉・絵  舟崎克彦・文  あかね書房

記紀の世界を絵本にしたものです。
神話時代を「くにのはじまり」「あまのいわと」「やまたのおろち」
「いなばのしろうさぎ」「すさのおとおおくにぬし」「うみさちやまさち」
の6巻で描いています。
 
「くにのはじまり」は、伊邪那岐と伊邪那美が日本の国土を作るところから、
天照大神が生まれるところまでです。
文章は、子供用に書かれていますが、神様の名前などは漢字にルビがふられて
いますので、大人も分かりやすいです。また、記紀の雰囲気を感じさせるような
文章ですので、内容もわかりやすく、日本の神話を読んだな、という満足感が
あります。

絵も記紀の雰囲気をよく出しています。
本来文章だけの作品に挿絵が付くと、主人公などが固定されたイメージとなり、
大人はむしろ楽しめないことが多いのですが、この絵は、強烈な印象がなく、
雰囲気を表すのに適した描き方をしていて、飽きずに楽しめます。


「クリスマスのはじまり」  レイチェル・ビリントン作  バーバラ・ブラウン絵  太田愛人/訳  佑学社
少し古い本で新刊では、購入できないようです。
図書館などで、見つけてください。

クリスマスのはじまりは、当然イエス様のお生まれです。ということでイエス様の誕生について、
書かれています。
受胎告知からお話ははじまり、丁寧に出来事を追って描かれています。
また、時代考証もきちんとしているようで、何も知らない人もこの本で、
イエス様の誕生については、ほぼ理解できるのではないでしょうか。

私も一応誕生についてのお話は知っているつもりでしたが、マリアのいとこや、
ベツレヘムに行った理由などは、初めて知りました。
(ベツレヘムへ行った理由は、救世主が生まれることを恐れた王が、
生まれた子どもを殺すので、逃れたのだと、思っていました。
この本によると、別な理由です。)

イエス様がお生まれになった後の、羊飼いのはなし、東方の3博士の到来など、
丁寧な絵で描かれていて、宗教画を見ているようです。
作者も画家も女性です。
訳も聖書を読んでいるような感じの文で、心の落ち着きを得られるような絵本です。

「こどものためのイエス・キリスト物語」 ブライアン・ワイルドスミス絵・文   星野 真理・訳  小学館
bk1にリンクしています。bk1で表紙画像ご覧下さい。
イエスさまの誕生だけではなく、一生の物語です。
わかりやすく書かれているので、一応の知識として知りたい方などには、ちょうど良い絵本です。
ワイルド・スミスの絵もきれいな色使いで、素敵です。
「こどものための」というクレジットがあっても、ためらわず手にお取りください。


オンライン書店ビーケーワン:シャカ 「シャカ」 油野 誠一・作  福音館書店
正式に言えば、お釈迦様は神様ではありません。
シャカ族の王子ゴータマ・シッダルタが、悟りを開き仏陀になったのです。
キリスト教のイエス様が、神様の子で神様と同じであるとされるのとは、少し違います。

でも、難しいことはおいて、お釈迦様の一生を生まれる少し前から、丁寧に描いた絵本です。
誰にも分かり易く、お釈迦様とはどんな人だったかが、描かれています。
世界三大宗教の一つです、一度はじっくり読んでみてください。


オンライン書店ビーケーワン:えびすさんと6人のなかまたち 「えびすさんと6人のなかまたち」 中川 ひろたか・作 / 井上 洋介・絵   佼成出版社

七福神物語です。
題名の通り、えびすさんが6人の仲間を探して、七福神が揃うお話です。
宝船に乗った七福神の絵をよく見かけますが、このお話でも、船に乗って仲間を
探しに行きます。それぞれの神様の特徴が描かれていて楽しいです。
また、七福神物語1となっていますので、この続きにこれからの活躍が
語られるのかもしれません。


オンライン書店ビーケーワン:ぱんぷくりん 鶴之巻 「ぱんぷくりん 鶴之巻」 宮部 みゆき・文 / 黒鉄 ヒロシ・絵   PHP研究所
短いお話が3話載っていますが、そのうちの一つが七福神のお話で、「宝船のテンプク」です。
七福神が船に乗って旅をしています。で、この船が転覆します。七福神は、それぞれ七人の人に
助けられます。そして、御礼に願い事をかなえてあげます・・・・。

とっても、いいおはなしです。幸せ気分になること間違い無しです。
この絵本は、「ぱんぷくりん 亀之巻」と2冊でシリーズになっています。
こちらもいいおはなしが3話載っています。こちらもどうぞ。

オンライン書店ビーケーワン:ぱんぷくりん 亀之巻「ぱんぷくりん 亀之巻」 宮部 みゆき・文 / 黒鉄 ヒロシ・絵 PHP研究所


オンライン書店ビーケーワン:青い馬と天使 「青い馬と天使」  ウルフ・スタルク作 / アンナ・ヘグルンド絵 / 菱木 晃子訳ほるぷ出版

広い世界に神様と天使が二人っきりで、暮らしています。
「神様は、すべてのはじまり」なので、先にはパパもママもいないのです。

神様のこの寂しさを、感じてしまうと、恐ろしく孤独で、
神様の寂しさが、突き刺さってくるようです。
でも、神様は、天使と遊んでいるとそんなこと
忘れてしまうのです。(ああ、良かった。(^^ゞ

そこに、天使が欲しがった青い馬が誕生します。
天使と青い馬は、神様が嫉妬するほど、仲良くなります。
神様は、駄々をこねる幼子のよう。
でも、天使も青い馬も、神様を優しく諭します。
「いつかきっと、神様も恋ができるよ」って。

とても、優しげな絵と、神様が駄々っ子のように
描かれていて、神様を身近に感じるお話です。




たいせつなきみ  マックス・ルケード/文 セルジオ・マルティネス/絵 ホーバード・豊子/訳
             いのちのことば社フォレストブックス

クリックしてください。Amazonで表紙確かめられます。

ウイミックスという小さな木のこびとが、きんぴかのお星さまシールと
はいいろのだめじるしシールを張り合って暮らしています。
パンチネロというこびとは、だめじるしばかり張られて、
落ち込んでいましたが、シールが張り付かないルシアに出会って、
ウイミックスの作り手、彫刻家のエリに会うことを勧められます。
エリは、「皆がどう思うかなんて たいしたこじゃない、皆同じウイミックス
じゃないか、わたしは、おまえをとてもたいせつに思っているよ」と
いうのです。
パンチネロは、とてもうれしくなりますが、シールが気にならなくなるのには、
時間がかかるようです。

このおはなしは、牧師さんが書きました。ということで、エリが誰で、
ウイミックスが誰かは、すぐに分かります。そして、シールが何かも。
それでも、落ち込んだ日に読んでみると、そうだよね、シールなんか、
どうでもいいんだよ、って。

原作者は、アメリカで人気のある作家だそうです。



オンライン書店ビーケーワン:楽園 「楽園」  ニコラス・アラン作 / いしい むつみ・訳  BL出版
誰もいない島に一人で男が暮らしていました。楽園です。
ある日、どこからか鳥が一羽飛んできます。男は鳥が島を汚し、うるさく鳴くので、
困っていましたが、また、どこへともなく鳥は飛んでいってしまったのです。

すると、最初は鳥がいなくなったのを喜んでいた男は、次第に一人の寂しさに、
気が付きます。戻ってきて欲しいと願っていると、再び鳥はやってきました。
男は鳥を歓迎します。戻ってくれてうれしいと。
鳥は、「そう思って、皆を連れてきたよ。」と言うのです。
「みんな?」
やがて、大きな箱舟が島に横付けされ、たくさんの動物が、そして一組の人間が
島に降り立ちます。うれしそうな動物たちの笑顔の中に、憮然とした、男の顔が、
印象的です。

ノアの箱舟をモチーフに描かれているのは、主人公の姿からも箱船の様子からも
分かります。じゃ、神様は、戻ってきた生き物たちが煩かったのかしら?!


オンライン書店ビーケーワン:いつもだれかが… 「いつもだれかが…」ユッタ・バウアー作/絵 上田 真而子・訳 徳間書店
守護天使というのでしょう。病院にお見舞いに来た孫に
おじいちゃんは、運が良かったと人生を振り返ります。
おじいちゃんは知らないのですが、そこには、いつも天使がいて、
危ないところもちょっと手助けしてくれたのです。

でも、天使でもどうにもならない事があって、
友達のヨーゼフは、胸に星のマークをつけて、いなくなりました。

作者はドイツ人です。
ヨーロッパで、感動の渦を巻き起こしたと、帯に書かれていますが、
最初に読んだ時、_(‥ )ふ-んぐらいでした。
でも、もう一度、読んでみると、何かジワッとして・・・。

私は、特に最後が好きです。
お見舞いを終えた孫の後を追って、ふらふらと、天使が、
ホスピスと書かれた建物から出てきます。
「外は まだ あかるくて あったかい
きょうは すてきな 日だったなあ」
そして、孫が蹴飛ばした石ころ(?)は、天使の頭の上に。


オンライン書店ビーケーワン:ギルガメシュ王ものがたり 「ギルガメシュ王ものがたり」 ルドミラ・ゼーマン文・ 絵 / 松野 正子・訳  岩波書店
ギルガメシュ王とは、メソポタミアの王さまです。では、なぜ、『神様のお話』なのか。
ギルガメシュ王の物語は、5000年も前に粘土板に記された「ギルガメシュ叙事詩」からできています。
王は、神様が人間の世界に遣わした神でもあり、人間でもあったのです。
メソポタミアの古代神話です。そして、このお話をもとに、各地の神話や旧約聖書が書かれました。

この絵本は、3巻シリーズです。まず、ギルガメシュがどのような人物で、というところから
はじまります。そして、エンキドゥという友人を得る話です。

エンキドゥも神様が動物の中に使わした人間です。だから、ギルガメシュと同じく、神と人の狭間の
人間です。ですが、ギルガメシュが人間の中にいても、人の心を持たなかったので、神はエンキドゥを
動物と暮らすように森に送りました。

やがて、エンキドゥは狩人と出会いますが、動物を殺す者を許せず、狩人を追い払います。
このことで、森には「世界一強い人」がいると言う話が伝わりますが、ギルガメシュは自分が
世界一強いのだと、エンキドゥを倒すと、言い出します。
エンキドゥを森からおびき出すのに、歌うたいのシャマトが選ばれます。
やがて、シャマトとエンキドゥは、連れ立って森を出ます。

一方、ウルクではギルガメシュが、エンキドゥが来るのを待ち構えていました。
そして、二人はウルクの高い城壁の上で戦います。
二人の強さは同じで、勝負がつきませんでした。ところが、突然、城壁が壊れギルガメシュが
落ちてしまいます。すると、エンキドゥは身を乗り出し、ギルガメシュの腕を掴み、引き上げたのです。
こうして、二人は互いを信じ、友人としてウルクで暮らし、国民のために政治を行うようになりました。


オンライン書店ビーケーワン:ギルガメシュ王のたたかい 「ギルガメシュ王のたたかい」  ルドミラ・ゼーマン文・ 絵 /  松野 正子・訳  岩波書店
友人を得て、二人でよい治世を行っていた時に、大地震が起こります。
この地震のために、二人の大事なシャマト(女性の歌うたいです。)が、死んでしまいます。
そして、二人は、シャマトを殺した怪物フンババを、倒しに行きます。
怪物フンババは、火山のようです。

怪物を倒すと、横合いから出てきたイシュタールという女神が、自分が怪物退治に力を貸したのだ、
と言い出します。そして、自分と結婚する様に迫ります。自分と結婚すれば、世界の王がギルガメシュに
従うと言いますが、断ります。

ギルガメシュがここで、世界を統べる王になっても良いのですが、なぜか、そのような事はしません。
一巻でもなぜ、エンキドゥがギルガメシュを助けるのだろうかと、考えさせられます。
古代に出来た物語ですが、非常に現代的な側面を持っています。そして、いつもギルガメシュがリベラル
であることに、感動します。古代人は、何て進んだ考え方をしていたのだろうかと。

侮られたとイシュタールは、災いを起こして、ウルク(首都)を破壊します。
かろうじて、イシュタールを追い返した二人ですが、やがて、エンキドゥがイシュタールの呪いにより、
病に倒れます。そして、シャマト同様死んでしまいます。

ギルガメシュは、「死」というものが、この世の最大の怪物であると、これを退治しようと、
旅に出ます。ここで、2巻目は終わりです。

オンライン書店ビーケーワン:ギルガメシュ王さいごの旅 「ギルガメシュ王さいごの旅」 ルドミラ・ゼーマン文・ 絵 / 松野 正子・訳  岩波書店
ギルガメシュ王は、「死」の謎を求め、疲れ果てて死に掛けた時に、
鳥になったシャマトが、声をかけてくれます。「太陽神が眠るところに、永遠の命のなぞ」があると教えます。
ギルガメシュは、力を奮い起こし、太陽神の沈む山を目指しました。

太陽神の沈む山には、獣、大さそりなど恐ろしい物がたくさんいます。その山の中で、ギルガメシュは、
若いライオンを、いつかのエンキドゥのように助け、道連れになります。ギルガメシュをライオンは、
太陽神の庭で、永遠の命の秘密を知るの「ウトナピシュテム」であると教えられます。

ギルガメシュとライオンは、苦労の末ウトナピシュテムに出会います。
この「ウトナピシュテム」とは、後に旧約聖書で「ノア」と言われる人物と同じです。
話をする間眠らなければ、永遠の命をと、約束しますが、ウトナピシュテムが
話している間に、ギルガメシュは眠ってしまいます。

この時話されることは、いわゆる「ノアの箱舟」と言われる大洪水の話です。
大洪水の話は、聖書にも載っていますが、各地の神話物語に中に、語られています。
このお話が、その原典になったようです。

ギルガメシュは永遠の命を得られ無かったのですが、若さを保つというある物を、
教えられます。そして、深い海の底から、やっと得た宝を手に、ウルクへ戻る途中に
なんと、その宝をイシュタールに奪われてしまいます。

落胆しているギルガメシュのところに、鳥になったエンキドゥが現れます。
エンキドゥは、見せたい物があると、ギルガメシュを背に乗せて、ウルクの都に戻ります。
ウルクの都は、美しく、壮大でした。エンキドゥは言います。
「ここに、永遠の命はある。きみの事は、永遠に人の心にいき続けるだろう」と。

この3巻を通して、私たちはギルガメシュとともに、友情を得、冒険をし、古代の世界に
遊びます。古代の雰囲気そのままに、絵も細密に美しいものです。絵は、城壁画のような趣で、
描かれ、上下に唐草模様の帯があります。古代の城壁画が彩色されて蘇ったような感じです。

ヨーロッパ各地の神話に影響を与えた物語を、分かりやすく楽しく、絵物語にしたものです。
5000年前の、ギルガメシュのお話、楽しんでください。


オンライン書店ビーケーワン:わがままな大男 「わがままな大男」
オスカー・ワイルド原作 / 小野 忠男ぶん / 井上 ゆかり・え  にっけん教育出版社

「幸福の王子」で有名なオスカー・ワイルド原作の絵本です。

ある町に、大男が住む大きなお屋敷がありました。大男が長い間留守にしていたので、
庭には子どもたちが入り込み、遊んでいました。ある日、大男は帰ってくると、子どもたちを
庭から追い出しました。そして、高い塀を作り、頑丈な扉を閉めました。

やがて、大男の庭には、寒い北風、冷たい雹、霰が住み着き、何時になっても春がきません。
塀の外では、暖かな春になり、夏になり、秋の実りがやってきますが、大男のところには、
来ませんでした。

翌年、大男の庭で、小鳥が鳴き、暖かな風が吹きました。春が来たのです。
大男は庭を見ると、子どもたちが塀の裂け目から、庭へ入ってきていたのです。
大男は気が付きました。春が来なかったわけに。子どもたちを庭から追い出したためでした。
庭の木には、子どもたちが木に登っています。でも、一本だけ登れずに、木の下で、
泣いている子どもがいます。大男は、近づいて木の枝に座らせて上げました。
すると、その木は見る見るうちに花を咲かせ、小鳥がやって来て歌います。
その子どもは大男のほっぺにキスをして、喜びました。

大男は、塀を壊し、子どもたちに庭を開放しました。でも、あの小さな、
木の下で泣いていた子どもは、やってきません。
大男は子どもたちが戻ってきた事を喜びましたが、あの子どもに会いたいと願います。

やがて、何年もたち、大男は年をとりました。ある日、あの小さな男の子が、
庭の木の下に立っているのに気が付きました。しかも、冬だというのに、その木には、
花が咲いています。大喜びで、庭に下りた大男は、男の子の手を取りました。
小さな子どもの両手、両足には釘を打ち込んだ傷があります。
「いったい、だれが」問う大男に、「いいえ、愛の傷です。」と
「天国という庭に、行きましょう」と。

絵は、優しい感じに溢れています。心がしなやかに優しさで溢れるような、絵本です。


オンライン書店ビーケーワン:カミさま全員集合! 「カミさま全員集合!」 内田 麟太郎・作 / 山本 孝・絵  岩崎書店
神無月は、日本全国のカミさまが出雲に集まる月です。
だから、出雲だけは、神在月なのだそうです。

この絵本は、「カミさんは、出雲に全員集合!」というオオクニヌシノミコトの
呼びかけに答えて、全国の神様が出雲目指して、集まってくる様子を描いています。
イネの神様は馬に乗り、エビスさんは船に乗り、テンジンさんは本を読みながら
歩いていきます。こんな感じで、色々な神さまが出かけるのですが、貧乏神だけは、
出雲に呼ばれないようです。

途中、おばあさんの手助けをする娘さんに出会ったり、フクの神様は、バイクに
乗せてもらったり、大騒ぎです。もちろん、出雲に神様が集まる理由は、日本国中の
縁談を決める相談です。だから、最後のページ、中々しゃれてます。

絵は、しっかり、はっきり、楽しい神様の出かける様子が、描かれています。
やや誇張された神様たちは、見ていて飽きないです。
特に、出雲に呼ばれない貧乏神の情けない顔、その住まいの様子も、とても面白いです。
また、美しい女性の神様たちは、本当にしとやかで、お声も美しい感じです。


オンライン書店ビーケーワン:女神イシス 「女神イシス」 合田 佐和子・絵 / 舟崎 克彦・文  ほるぷ出版
エジプトの神様のお話です。
「エジプトは、ナイルの賜物」昔から、氾濫のたびに豊かな土壌をもたらしてくれるナイル川、
この物語にでてくる、オシリスもナイル川をなぞらえていると言われています。
大昔、エジプトにオシリス、アルエリス、セト、イシス、ネプテュスの5人の神様が
生まれました。この物語に登場するのは、この中のオシリス、セト、イシスの3人の
神様です。

オシリス、セトは男神、イシスは女神です。
オシリスとイシスは、夫婦となって、エジプトを治めていました。その治世は、人々に
平和な暮らしをもたらしました。
ところが、弟のセトが王位を奪い、イシスを我が物にしようと考えます。
セトは、オシリスが留守の間に、エチオピアの女王と組んで、オシリスの棺を作ります。

オシリスが戻ると、セトは、「この棺を、体の寸法に合ったものに与えようと」と
持ちかけます。すると、順番に皆が、棺の中に身を横たえますが、誰も合いません。
オシリスも「では私がためしてみよう」と、棺に横たわります。その時、セトの手下が
すばやく、棺の蓋をしめ、ナイルに流してしまいました。

この後、セトはエジプトを治めますが、腹黒いセトにエジプトの民は恐れ戦きました。
イシスは、髪を切りオシリスの棺を探す旅にでました。やがて、オシリスの棺は、ビブロス
という国で見つかり、エジプトに戻るのですが、セトはオシリスをばらばらにして、
あちこちに埋めました。再び、イシスはオシリスを探す旅をし、とうとうすべての身体を
見つけ出し、オシリスを蘇らせました。

イシスはやがてオシリスの子、ホルスを生みます。ホルスはセトの知るところとなって、
命を狙われますが、知恵の神トトに救われます。長じてホルスは、セトを倒し、エジプトを
治める事になります。

女神イシスは、どんな困難も厭わず、夫であるオシリスを探し、息子のホルスを育てました。
そして、ホルスが「太陽の子」として、エジプトを治める事になると、やっと報われるのです。

この物語は、長い文章で読めば、もっとたくさんのエピソードがあるのかもしれませんが、
絵本ですので、あまり長い文章ではなく、書かれています。でも、物語はよく分かります。
イシスの夫を思う気持ちが、伝わってきます。

絵は、どこかアメリカ映画を思い起こします。何となく、映画のポスターにありそうな
感じの構図です。さらに、描かれている神様が、映画スターの誰かに似ているような
気もします。画材は色々組み合わせてあるのでしょうか。時々挿絵風に描かれている
エジプトの護符などは、水彩のように見えますが、本編の絵は、油かパステルかという
感じです。

絵の合田佐和子は、はじめての絵本だそうです。
このシリーズは、先述の「アマテラス」もそうですが、色々な画家が絵を担当していて、
美術書の雰囲気もあります。


オンライン書店ビーケーワン:フィンの伝説 「フィンの伝説」宇野 亜喜良・絵 / 舟崎 克彦・文  ほるぷ出版
ケルト神話です。ケルト文化は広くヨーロッパ各地に、影響を及ぼし
ましたが、ローマ帝国に吸収さてしまい、現在はアイルランドで伝えられています。

フィンの母親は、神の一族の子孫です。フィンは父親が敵に殺され、母親が森に
逃げて生んだ子どもです。金色の髪、抜けるように白い肌を持つため、「フィン」と
名づけられました。このフィンが、成長して英雄になります。そして、妖精の妻を
迎えます。この妖精は魔法にかけられて鹿の姿になっていたものを、フィンが助けたのです。

やがて、フィンは遠征に出かけますが、その間に妻は、再び魔法にかけられ、
鹿となって、森に姿を消します。妻を捜しに森に入ったフィンが見つけたのは、
少年です。自分と妻の子に間違いないと、オシーン(子じか)と名づけます。
この後オシーンの時代へと、神話は移っていきます。

宇野亜喜良の絵は、キャメルの色の紙に、パステルと一部絵の具を使って描かれて
いるようです。そして、絵は2ページ見開き断ち切りですが、絵の中にラインがあり、
四隅が区切られています。その中にコラージュのように、おそらくその絵のモデルに
なった人の写真があります。その隅の写真は、物語の一部の挿絵にもなっています。
とてもモダンな感じです。

いつも思うのですが、この宇野亜喜良は、もっと若い人だと考えていました。
その描く絵が、いつも現代的なので。でも、お生まれは1934年です。
こういう考え違いは、よくあります。
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