環境問題も考えてみましょう。     絵本館Top

 

「ぼくは くまのままで いたかったのに・・・」
「ちいさい おうち」
「だいじょうぶ?だいじょうぶさ!」
「5ひきの小オニがきめたこと」
「ゆめのおはなし」 
「いつかどんぐりの木が」 
「あるひうちゅうで」 
「ジャックがつくったせかい」 
「バタームーン・ストーリー」 
「おばあさんの青い空」 
「アイヌとキツネ」 
「タンチョウは悪代官か?」 
「父は空 母は大地」 
「どうやって空気を売るというのか?」 
「ブラザーイーグル シスタースカイ」 
「ここが家だ」 
「わすれないで」 
「木を植えた男」 
「大いなる河の流れ」 

「ぼくは くまのままで いたかったのに」 イエルク・シュタイナー/ぶん イエルク・ミュラー/え おおしまかおり/やく
                         ほるぷ出版

 熊が髭剃りをしている表紙です。
何のために、それもそれを監視するかのように、
後に人が立っています。

熊が冬眠するところからお話は始まります。
冬眠から目覚めると、なんと、一面の森だったところが、
工場になっていて、熊はそこで働くことになってしまいます。
「ぼくはくまだ」と主張するのですが、だれもそれを認めて
くれないのです。
そして、再び冬が巡ってきます。
熊は?
どうするのでしょうか?

 

オンライン書店ビーケーワン:ちいさいおうち 「ちいさいおうち」  ばーじにあ・りー・ばーとん・ぶんとえ / いしい ももこ・やく  岩波書店

まず、バージニア・リー・バートンの絵本は大好きです。
どの本も細かく絵が描かれ、見ているだけで、幸せな気持ちに
なれます。

このおはなしは、田舎にあった‘ちいさいおうち‘が、夜でも明るい街にあこがれ、
次第に周りが街になると、やはり、田舎が良かったというお話です。
あらすじを知ると、何だ、という感じですが、バートンの絵は、本当に、
やさしく、ていねいに、細かなところが描かれています。

バートンの絵本こちらでも紹介しています。 


「だいじょうぶ?だいじょうぶさ!」 ダビッド・モリション作  小宮悦子・訳 小学館

だいじょうぶ?だいじょうぶさ!
bk1にリンクしています。bk1で、表紙画像ご覧下さい。

森の中で、ねずみのアルバートと、もぐら(?)のヘンリーは、
スーパーマシンを作っています。何でも作り出す、夢の機械です。
でも、「おせんぶっしつ」も出てきて、アルバートは、土に埋めたり、
海に捨てたり、最後には、宇宙に捨てたら、地球に落ちてくるし。

現代の大問題を、さらりとした文章と絵で、描き表した絵本です。
わかっていてもの、大人がもう一度、読み直してもいい本のようです。



オンライン書店ビーケーワン:5ひきの小オニがきめたこと「5ひきの小オニがきめたこと」サラ・ダイアー・作 毛利 衛 ・訳  講談社
「原っぱのはるかかなたに、カプセルがいつつ、ぽつんとたっていました。」
きっと、地球に良く似た星で、地球ではないのでしょう。
カプセルには小オニが住んでいて、景色が大好きでした。
ある日、小オニたちは、見ているだけでは、我慢できずに、
それぞれが、好きな物をとる事にしました。

太陽、月、空、大地、海、それぞれのカプセルに入れて、
大満足の小オニたちだったのですが・・・。

宇宙飛行士の毛利衛が訳していますが、帯に
「自然はすべてつながっている」と書かれています。

その通り、私たちの今ここで流した水も、すべてに
繋がっているのですね。
気をつけなくちゃ・・・・。(~_~;)


オンライン書店ビーケーワン:ゆめのおはなし 「ゆめのおはなし」 クリス・ヴァン・オールズバーグ/絵と文 さいごうようこ・訳  徳間書店
ウォルターは、夢の中で未来に行きます。
でも、考えていた未来とは全然違いました。
そこには、ロボットもいないし、ボタン一つで食べ物がでてくることも
ありませんでした。

あるのは、ごみの山、木を切る人、工場の煙突などなど、
とても、輝かしい未来などどこにもありません。
でも、ウォルターは、これは夢だから覚めれば元の通りと
考えて、どこに行っても目をつむりまた寝ます。

そして、朝、自分の部屋の中で目が覚めますが、
とても変な気分でした。
楽しみにしていた未来が、まるで違う物だったからです。
ウォルターは、急いで自分の捨てたゴミを拾いに行き、
ゴミバケツの中のゴミをきちんと分別します。

良い未来はやってくるのでしょうか。
最後のページをご覧下さい。 (。^_^。)/

オールズバーグの絵は、いつもアメリカらしさを感じます。
この絵は、カラーで描かれていますが、ゴミの山、工場の煙突など、
嫌な感じを受けない色使いです。
見開きページに大きく一枚の絵が描かれ、次のページに
文章という、みな、同じつくりになっています。
環境問題を考える本といっても、絵を楽しむために
開いても、充分楽しめます。


オンライン書店ビーケーワン:いつかどんぐりの木が 「いつかどんぐりの木が」 イヴ・バンティング作 / ロナルド・ハイムラー絵 / はしもと ひろみ・訳
岩崎書店

悲しいお話です。そして、最後に希望の光が見えるお話です。
アリスは、まだ小さな女の子です。アリスの両親は大きなどんぐりの木がある、
「ひろびろはらっぱ」をアリスが生まれる前に買って、住んでいます。
どんぐりの木の下で、アリスとお母さんと犬のチンクは、お昼休みをします。
すると、通りがかりの人も、木陰で休んでいくのです。アリスのお父さんは、
どんぐりの木を独り占めすることは出来ないのだ、と言って来る人を拒みません。

ある日、いつものように、どんぐりの木の下の草むらに寝転がっていると、
草が枯れ、妙な匂いがするのに気が付きました。
それから、どんぐりの木はダンダン枯れていきます。
近所の人なども力を貸してくれるのですが、どうにもなりませんでした。
誰かが、化学薬品を捨てていったようです。

とうとう、どんぐりの木を救うことは出来ませんでしたが、アリスは、
どんぐりを木の下に蒔き、再び大きなどんぐりの木になることを願います。

どんぐりの木の下に化学薬品を捨てた人について、アリスのお父さんは、
「木をからす つもりはなかったんだよ。・・・だけど、ついしてしまうってことは、
あるかもしれないな」と言っています。
本当に、私たちはつもりはなくても、ついしている事は、たくさんあります。
反省反省です。

見開き2ページで、一枚の絵になっています。絵は、写実的な水彩の美しさを
見る人すべてに感じさせます。素晴らしい絵で表現された素晴らしい物語として、
全米で好評だったと、扉に書いてあります。


「あるひうちゅうで」 きたむらさとし  佑学社
すでに、書店にないようです。図書館でみつけてください。
ある日宇宙で、迷子になります、宇宙人が。そして、地球にやってきます。
地球で地球の生き物(人間)と友達になります。友達が親戚を紹介してくれます。

友達の親戚って?
そうです。宇宙人から見たら、地球上の生き物は、みな一族なのです。

この場面は、虫取り網を持った男の子が、とんぼやリスを指差しています。
豊かな自然の中で、男の子が楽しそうに指をさし、あたりの生き物も、愛嬌よく
こちらを見つめます。
宇宙人は、こちら側にいるという設定だけで、姿はありません。
だから、読者が宇宙人として男の子に話しかけられているような感じになります。

夜空に星が輝く頃、友達を送って宇宙人は家路に着きました。

作者はロンドン在住ですので、男の子の家はロンドンなどイギリスがモデルと思われますが、
レンガの高い建物群の向こうに広がる豊かな緑の草原が、とてもうらやましくなります。
イギリスの風景があんな感じなら、住んでみたいです。街と自然との共生が理想的に、
描かれている絵です。


「ジャックがつくったせかい」 ルース・ブラウン作 浅田孝二・訳 大日本図書
表紙絵がなく残念ですが、緑の草原に黒い猫がすわり、瑠璃色の蝶を
見つめています。
最初に考えたことは、ジャックとはこの黒い猫のことで、猫が作った世界!?とは、という
考えで、読み始めました。でも、ジャックは人間のジャックでした。といっても、姿はなく、
ジャックという名前だけが、何度も出てきます。

最後に、訳者の解説があります。それによると、このお話の最初の一行は、
「マザーグース」の「これはジャックのたてたいえ」から、とられたものだそうです。
「つみかさねうた」という形で進みます。

ジャックの建てた家の近くから、はじまり、次第に遠いところへと、進みます。
ジャックの家の傍は、自然のきれいなところですが、離れれば離れるほど、
暗く環境の悪い場所になります。そして、「ジャックがたてた、こうじょうのそばを」で、
終わります。

前半と後半の対比は、明るく美しい草原と、暗く汚れた野山、小川が、はっきりとした
筆使いで描かれています。中に登場する生き物は、黒い猫と瑠璃色の蝶だけです。
この二匹が、前半では追いかけっこをしていますが、後半は、二匹で寄り添うように、
不安げに、暗い森や小川を覗き込んでいます。
「ジャックがつくったせかい」意味深い題名です。


オンライン書店ビーケーワン:バタームーン・ストーリー 「バタームーン・ストーリー」 いわくら ともくに/さく・え  新風舎
満月の夜、おじいちゃんが森で取ってくるバタームーン。
とても、おいしそうです。私もぜひ満月の夜、バタームーンを取りに行ってきたいです。
でも、もう、森は都会になってしまって、バタームーンを取りに行く事ができないのです。
残念です。

おじいちゃんと孫のぼくが森へバタームーンを取りに行く様子が、絵本の中心です。
影絵の人物と暗い森の様子を暗青色で表した絵は、デザイン性にも優れています。
湖のバタームーンは、ゆらゆら揺らめいて、夢の世界に誘うようです。

最後のコーヒーカップの中の小さなバタームーン、ちょっぴり切ないです。


「おばあさんの青い空」  片山健  偕成社
日本版「ちいさい おうち」の感じです。
おばあさんの大家さんが、ビルの谷間にちいさい木造のお家を持っています。
住んでいるのは、コジさんです。時々、「うち」を壊してビルにする話が
ありますが、おばあさんは決して、ビルにはしません。

おばあさんは、この家の上にある空が好きです。
小さい空ですが、星もひかり、雪も降ってきます。
それに、このうちには、コジさんが住んでいます。
おばあさんは、コジさんも好きです。

コジさんは、時々どこかへ出かけていきますが、いろんな国の話をおばあさんに
聞かせてくれます。それがおばあさんは、楽しみです。
コジさんがいると、家も楽しそうです。だから、けっして、ビルにはしないです。

片山健の絵がとても楽しげで、ページを開くたびに、元気になるような気がします。
南国の様子、嵐の様子、怖いお話の絵、どれをとっても、楽しい絵です。
ちょっと、型破りな感じの絵をお楽しみください。


オンライン書店ビーケーワン:アイヌとキツネ 「アイヌとキツネ」 かやの しげる・文 / いしくら きんじ・絵  小峰書店
アイヌの物語です。「かやのしげる」が創作したのではなく、
昔から語り継がれたお話を、文章にしたものです。アイヌの文学は口承文学ですので、
萱野茂がテープに録音して、集めていました。
それをもとに、萱野茂が文章化し、さらに、このお話は絵本にされました。

アイヌとキツネの間で、しゃけを巡って起きた出来事です。
秋になると、鮭は、たくさん川を上ってきます。それを獲ってアイヌも他の動物も、食料にします。
ある時、キツネがアイヌの獲った鮭を一匹横取りしました。すると、アイヌが神様にキツネを
遠くへ追いやるように願った為、キツネが夜中に「チャランケ(談判)」をしにきました。

キツネは「しゃけはアイヌのものだけではない。神様がここにいる動物全てのために、
あたえてくれたもの」だと、訴えます。そして、「だから、キツネを遠くへ、追いやろうと
するのは、間違っている」というのです。

これを聞いた、別のアイヌが翌朝、皆を集め、キツネを怒ったアイヌを叱り、キツネの神様に
お詫びしました。このために、キツネは遠くへ行かずにすみました。
それから、「ここにある、魚や木の実は人間だけが食べるものではなく、動物全部で、
分け合って食べるもの」と年寄りのアイヌが教えます。

人間だけが驕り高ぶって、世界のバランスを忘れていけないと、昔から言い伝えています。
どこの民族にもこのようなお話があると思います。でも、現在の社会で常に忘れられがちな事です。
自然を相手にずっと生きてきたアイヌなので、より強く訴えが感じられます。


オンライン書店ビーケーワン:タンチョウは悪代官か? 「タンチョウは悪代官か?」 竹田津 実・作 / あべ 弘士・絵  偕成社
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釧路の湿原で「どうぶつさいばん」が始まります。
訴えられたのは「タンチョウ」、訴えたのは「ヤチウグイ」です。
タンチョウが増えすぎて、ヤチウグイを食べつくしてしまうという裁判です。
裁判官はワタリガラス、それぞれの弁護士カワウソ、ヒグマ。証人も呼ばれます。
さて、判決は?

最後に証人としてやってきた人間によって、なぜ、ヤチウグイが食べつくされそうに、
なるのかが明かされます。
人間は湿原を自分たちの都合で、半分にしました。
そして、50年前に、タンチョウが冬に食べるものがなく弱っていたのを、かわいそうだと、
餌を与えました。それから、タンチョウは増えて行ってのですが、人間が給餌するのは、
冬だけで、春から秋は面倒をみません。そのため、ヤチウグイは食べられてしまうのです。

人間は自分の都合で湿原を半分にしたのですが、タンチョウがかわいそうと言うことだけで、
他の生き物の事を考えません。このため、タンチョウが悪者扱いになっているというお話です。

絵は、あべ弘士です。いつ見ても、動物の特徴を捉えていて、すごい絵です。
簡単そうな線で描いている様に見えて、一瞬の動きを捉え、その特徴を描き表しています。

この絵本の前作「どうぶつさいばん ライオンのしごと」があります。


オンライン書店ビーケーワン:父は空母は大地 「父は空 母は大地」 寮 美千子編・訳 / 篠崎 正喜・画   パロル舎
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1854年アメリカ政府は、インディアンと3年間の戦いの後、土地を買い、
居留地を与えるという申し出をします。アメリカ北西部のシアトル首長は、
迫り来る文明の嵐に抵抗する事は無益と判断し、条約に署名します。
シアトル首長は、条約を交わした際に、演説を行いました
その時の演説を絵本にしたものです。

絵本は、「ワシントンの大首長へ そして 未来に生きる すべての兄弟たちへ」
と始まります。

「どうしたら空が買えるというのだろうか?そして 大地を。わたしにはわからない。
風の匂いや 水のきらめきを あなたはいったい どうやって買おうというのだろうか?」

「大地は わたしたちに属しているのではない。
わたしたちが 大地に属しているのだ。」

シアトル首長は、自分たちが大事にした自然を、白い人たちも大事にしてほしいと
望みます。この演説で、大地と共に生きた私たちと同じく、大地に属した人間たち
すべてに、自然との共生を述べています。
     
この絵本は、オリジナルテキストをベースに、その精神を受け継ぎさらに
洗練された新しいテキストを参考にして、再構成したものですが、
どちらかと言えば、新しいテキストに近い形のものです。

絵は、日本人の画家です。どのような手法なのか言葉は知りませんが、
色を付けた後に、おもに白でペン画のように細かい線を入れてあります。
その細かい線が、光のように見え、きらきらと輝くイメージをもたらしています。
文章もメッセージですが、絵もまたメッセージとなっています。


「どうやって空気を売るというのか? アメリカインディアンのスピーチ」
北山耕平・訳  田口富士雄・絵  新宿書房 

上記の「父は空 母は大地」と同じスピーチを訳した物です。
ただし、こちらは1931年「The Wasihngton Historical Quarterly」誌に掲載された
文章を訳した物で、上記の本とは雰囲気が異なっています。
おそらく、こちらはオリジナルに近いのだと思います。もちろん、趣旨は変わりません。
ただ、こちらは少し辛口というか、やや辛辣な感じです。

実際にインディアンがスピーチすれば、この位の言い回しかなと、思えますが、
好みは、上記の本のテキストです。白人の手が加わって、感じを変えたことが、
良いか悪いかは別にして、読み易く、意味が分かり易いです。
また、手元で2冊をはっきり比べてはいませんが、取り上げている喩えも少ないように
思います。

こうして2冊を比べていくと、こちらの本が悪い印象になると困りますが、
ストレートに訴えかけてくるのは、この本です。インディアンの生きた声に
より近いと思います。

絵は、抽象的で具体的に描かれた場面はありませんが、一枚一枚の絵が、素晴らしく、
心象風景と呼んでいいのでしょうか、見ごたえがあります。

訳者の北山耕平は、アメリカインディアン関係の本を、何冊も出しています。
また、現在新刊では手に入らないようで、表紙の画像がありません。
図書館等でお探しください。


オンライン書店ビーケーワン:ブラザー イーグル、シスター スカイ 「ブラザー イーグル、シスター スカイ」
スーザン・ジェファーズ絵 / 徳岡 久生・訳 / 中西 敏夫・訳  JULA出版局

上記2冊の絵本と同じ内容のものです。
この絵本は、作者ジェファーズが、手を加え書き換えているそうです。
上記の2冊より、より絵本らしい言葉使いに思えます。絵も一番具体的です。
でも、細密画風に描かれた絵は、それだけで美しく、素晴らしいものです。

このほかにも、このシアトル大首長の演説の絵本があるかもしれませんが、
趣旨は皆同じです。地球に生きるもの全てが兄弟で、人間一人の勝手で、
住めない世界を作ってはいけない、というものです。
お好きな絵本を選んで、一度は是非お読みください。日本人にも通じ合う、
考え方だ思います。


オンライン書店ビーケーワン:ここが家だ 「ここが家だ」  ベン・シャーン絵 / アーサー・ビナード構成・文  集英社
第五福竜丸の悲劇を画家のベン・シャーンが描き、日本語詩人の
アーサー・ビナードが文章を書きました。

第五福竜丸の事件はご存知でしょうか。
マグロ漁にマーシャル海域に出かけていたときに、アメリカの水爆実験で被爆します。
このことは、私も知っていました。でも、この絵本を読んで、漁師たちが、
助けを求めず、自らの力で母港の焼津に帰ったことをはじめて知りました。
それには、理由があります。水爆実験を見てしまったからです。助けを求め、
アメリカに知れると、どんなことになるか・・・・。漁師たちは考え、自らの
力で帰ったのです。

こんな恐ろしい事が、ついこの間、世界で起こったのです。
今では原水爆の実験は、大気中では行われません。また、爆発させずに行う、
という方法のようです。でも、人間はこんなおそろしい爆弾を持っています。

絵本では、どのような状況で被爆し、帰るまでにどのような症状が現れたか、
そして、その後どうなったのかが、描かれています。

ベン・シャーンは、この事件を連作で描いています。
この絵本は、その絵を構成してつくられました。


「わすれないで 第五福竜丸ものがたり」 赤坂三好 文・絵  金の星社
上記の絵本と同じ題材ですが、こちらは、船を主人公にしています。

第五福竜丸は、当初カツオ漁船として造られ、名も「第七事代丸」として生まれます。
カツオの一本つりで、1974年から4年間日本一の水揚げを記録します。
そして、1953年マグロ漁船として「第五福竜丸」に変わります。
やがて、水爆の死の灰を浴びて、廃船の運命をたどりそうになりますが、
1956年東京水産大学の練習船として「はやぶさ丸」に生まれ変わります。

1967年「はやぶさ丸」としての航行も終わり、夢の島に捨てられました。
しかし、かつての第五福竜丸だと知っている人々の熱意により、1976年
「第五福竜丸展示館」として、保存されました。

船を語り手として、物語られますが、じわじわと泣かされます。
船の責任は何もないのに、見捨てられていく寂しさ、理不尽な実験の犠牲に
なってしまった船の哀しさが、身に迫ってきます。

赤坂三好の絵は、黒で縁取られたはっきりとしたものです。なぜか、やはり
ベン・シャーンのものより、感動しました。
水爆実験のシーンは、特に印象的です。

2冊とも読むことによって、かなり「第五福竜丸事件」に詳しくなります。
まとまった文献はなかなか読めませんが、絵本で短時間で読めるため、
常識として知っていてよい事件ですので、ぜひお読みください。お勧めです。

オンライン書店ビーケーワン:木を植えた男 「木を植えた男」 ジャン・ジオノ原作 フレデリック・バック絵 寺岡 襄/訳  あすなろ書房
この絵本は、ずいぶん昔に購入して、読んだ覚えはあるのですが、
あまり、感動した覚えがありませんでした。
ところが、今回この特集のために、引っ張り出したら、
途中で泣けて、泣けて、困りました。
一人で仕事しててよかった。(^^ゞ

まだ、ちょっと若かった頃には、良さが分からなかったのかな。``r(^^;)

フランスのプロバンス地方の、山に分け入った土地のお話です。
主人公は、木を植える男ではなく、その男を見守る若い男です。
木を植える男は、寡黙で孤独の中で、誰に頼まれたのでもなく、
荒涼とした土地に、柏のどんぐりを植え続けます。
その数、10万個。そして、芽を出したのが2万個、という、
空恐ろしい事業をたった一人で、続けています。

近くの村人は、争いの中に生き、荒涼とした土地と同じく、
荒れ果てた心を持っています。
その中で、男は、妻子を亡くして以来、たった一人で、
木を植え続けているのです。

その後、若い男は第一次世界大戦に従軍し、心をすり減らします。
戦争から帰ると、木を植える男のところへ急ぎます。
男は、戦争も関係なく木を植え続けていました。
林は、長さ11キロ、幅3キロにもおよんでいたのです。

絵本の絵は、この場面から色が付きます。
ここまでは、セピアの一色の荒涼とした感じの絵でしたが、
このページから、瑞々しい緑が、描かれています。

その後は、環境を守ると言って口を出すお役人たちが
登場します。しかし、誰よりも男が一番木のことを
知っていました。
やがて、村が再興し若者たちが住み、生活を楽しむ土地へと
変わっていきました。

このことが、たった一人の寡黙な、偉大な男によって、
成し遂げられたのです。



「大いなる河の流れ」 フレデリック・バック・作   寺岡 襄・訳   あすなろ書房
カナダのセントローレンス河の歴史をたどり、自然との共存を考える
物語になっています。フレデリック・バックは、「木を植えた男」で、フランスの
プロバンス地方を舞台に、山の緑の再生の物語を書きました。

この本では、素晴らしい自然のあるセントローレンス河がどのように、インディアンが
利用し、白人が利用したかを、時代を追って書いています。やはり、インディアンは、
昔ながらの知恵を持って、狩り尽さないことを基本に利用していますが、白人は、利益の
ために、多くのものを河から得ようとします。その結果が、どうなるか。

しかし、最後に作者は、希望を持って結んでいます。大河は秘めたエネルギーを持ち、
私たちに再生の春をとりもどそうと、呼びかけていると。

絵も作者自身が描いています。パステルで描いたものと思います。一枚一枚、訴えかける
意味を持った絵です。見開き左に文章、右に絵となっています。

下記は同じ内容の本ですが、短編アニメ映画「大いなる河の流れ」を基に、書かれた物です。
絵は、フレデリック・バックですが、文章は別の人、クロード・ヴィルヌーヴです。


「大いなる河の流れ よみがえれ、サン・ローラン 完全版」
クロード・ヴィルヌーヴ文   フレデリック・バック絵   寺岡 襄訳  あすなろ書房
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