クラシックへようこそ   絵本館TOP

こちらのページでは、クラシック音楽に関した絵本を集めています。 オペラ、バレー、などの物語、作曲者、楽器、劇場、などなどです。 期間限定特集ですが、次の特集と変わるときは、書庫に入らずそのままリストになります。

「くるみわり人形」センダック 「かいじゅうたちのいるところ」         
「白鳥の湖」光吉夏弥     「白鳥の湖」ツヴェルガー        「白鳥湖(はくちょうこ)」
「くるみわり人形とねずみの王さま」ツヴェルガー            「くるみわり人形」ツヴェルガー
「魔笛」           「1000の風 1000のチェロ」       
「ネコとクラリネットふき」  「うそうた堂のごきげんオーケストラ」
「ロバの王子」        「ディディ」              「アーサー・ラッカム」               
「愛らぶモーツアルト」    「モーツアルトおはなし音楽会」     「モーツアルト」                  
「目で聴くコンサート2」   「オペラのすべて」           「モーツアルトと古典派音楽」


「くるみわり人形」  E.T.A.ホフマン作
モーリス・センダック絵 /  ラルフ・マンハイム英語訳 /  渡辺 茂男・日本語訳  ほるぷ出版

「くるみわり人形」DVD センダックのデザインした舞台のDVDはありませんが、amazonでDVD検索してあります。
センダックは、1981年に「くるみわり人形」の舞台のデザインを
パシフィック・ノースウエスト・バレー団の美術監督から頼まれました。
センダックは、最初は否定的でしたが、次第に新鮮な「くるみわり人形」を
作ろうという美術監督の提案に、乗り気になります。

センダックは、すでに、オペラ3つ、ミュージカル1つに携わっていましたが、
「くるみわり人形」は二幕物で、180種類以上の衣装が必要でした。このために、
大変な時間を取られる事と、どのようにバレーに取り組んだら良いのかを悩みました。
結局は、その面白さに気付き、仕事を請けたのですが、この絵本は、その時のデザインを
絵本にしたものです。ただし、絵本の為にだけに描いた絵もあります。

「くるみわり人形」は、ホフマンの原作、チャイコフスキー作曲のバレーです。
クリスマスに、子どものために演じられるようです。
内容も、クリスマスにプレゼントをもらう事から、始まります。

ネズミの王さまの、呪いがかけられた「くるみわり人形」を主人公のクララが
救い、(いわゆる真実の愛で)やがてお菓子の王国で王と王妃として、幸せに
暮らすという物語です。この絵本の中では、クララはマリーという名前です。

センダックの絵は、印象的で、読み進める事が楽しい絵本になっています。
また、センダックのほかの絵本の登場人物が、入り込んでいるなど、お楽しみが
あります。私は、センダックの景色が好きなので、(人物はちょっとという時が、
多々ありますが)特に最後にくるみわり人形に連れられて、出かける人形の国の
都へ行く数枚の景色は、素敵です。

絵本の中の登場人物は、バレーのためのデザイン画ですので、バレーを踊って
いる絵もあります。
この他に、衣装、舞台を担当したオペラがあります。
こちらはDVDです。「ヘンゼルとグレーテル」amazon


「かいじゅうたちのいるところ」 モーリス・センダックさく  じんぐう てるお・やく  富山房
なぜ、ここに「かいじゅうたちのいるところ」が?
とお思いでしょうが、なんと、このお話がオペラになっています。
オリヴァー・ナッセンというイギリスの作曲家が、オペラにしています。
もう一つセンダックの「ヒグレッティ・ピグレッティ・ポップ!」という絵本が、
同じ作曲家によって、オペラになっています。

映像はありませんが、CDは販売されています。
「ヒグレッティ・ピグレッティ・ポップ!」「かいじゅうたちのいるところ」楽天ブックスへ

また、個人のブログですが、こちらにはオペラ「かいじゅうたちのいるところ」の映像があります。
「雑記帳」 euridiceさんのブログです。

センダックの絵本は、不思議でちょっと不気味な感じです。
かいじゅうって、「怪獣、海獣」なんでしょうか。
主人公のマックスはおおかみのぬいぐるみを着たら、いたずらを始めておおあばれとあります。
そして、お母さんに怒られると、遠いところへ船旅に出て、かいじゅうたちの王様になります。
かいじゅうたちの王様になったマックスは、とても楽しそうです。
でも、ある日、とても美味しいにおいがして。
マックスは、かいじゅうの王様をやめることにしました。、
おかあさんの夕ご飯には、かいじゅうより、なにより魅力が。

センダックの絵は、不思議な感覚です。
かいじゅうが画面いっぱいに広がり、目をぎょろりとさせています。
怖くはないけど、夜遅くひとりで暗がりでみたら、ちょっと不気味で、
後ろを振り返ってしまうかも。
文字は少なく、見開き2ページずつで進んでいきます。


「白鳥の湖」光吉夏弥・文 新潮社
とても古い本です。新刊書店では、手に入らないと思います。
大きな図書館で、調べてみてください。多少探してもいいかなと、思う位、内容は良いです。

表題以外に「コッペリア」「火の鳥」「赤い靴」が入っています。
いずれも、バレーの物語です。
それぞれの絵の作家も別になっています。
「白鳥の湖」三林亮太郎 「コッペリア」脇田和 「火の鳥」小磯良平 「赤い靴」佐藤敬
一時代前の作家ですが、錚々たるメンバーです。

絵は、バレーを踊っている様子で描かれていて、舞台を見るような感じです。

「白鳥の湖」最後は、王子とオデットが幸せになります。
白鳥の湖の最後はいろいろな形があるようです。

「コッペリア」コッペリアという名の人形に恋した恋人を、取り戻しながら、
コッペリウスと言う、人形師を懲らしめるお話です。確か、お人形のように
踊るのが見せ場だったような気がします。

「火の鳥」ロシアのお話です。イワン王子が火の鳥を捕まえますが、火の鳥が
羽を渡し、必要な時には助けに来るから、逃がして欲しいと請われます。
イワン王子は、火の鳥を逃がしさらに森の奥で、魔王に囚われていた美しい姫に
出会います。イワン王子は、火の鳥の助けを得て、魔王を殺し、美しい姫を
助け出します。

「赤い靴」映画の中での、バレーだそうです。魔法の掛かった赤い靴で、踊り続ける
娘を、最後に牧師が助けます。

どのお話も、簡単にまとまっていて、それでいて原作の雰囲気を損なわないように、
なっています。
「白鳥の湖」DVD  「コッペリア」DVD  「火の鳥」DVD  「赤い靴」DVD
amzonで、検索してあります。ただし、「赤い靴」のみ本書での紹介以外の類似のものも含みます。

「白鳥の湖」  ピョートル・チャイコフスキー原作
リスベート・ツヴェルガー再話と絵 / 池田 香代子・訳  ノルドズッド・ジャパン

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もともとチャイコフスキーが作曲した時は、最後はハッピーエンドでした。
悪に対する愛の勝利をうたいあげたものでした。しかし、初演が不評でその後改変され
王子とオデットがともに死んでしまうという、悲劇になりました。
(現在は、ハッピーエンド版もあるそうです。)

ツヴェルガーは、チャイコフスキーの意を汲んで、ハッピーエンドにしたのではなく、
自身がこの物語に納得できないでいため、最後はハッピーエンドにしました。
このあたりの気持ちは、最後に「あとがき」として書かれています。

ツヴェルガーの絵は、いつもながら落ち着いた大人の絵です。色合いもシックです。
時代をいつに設定したかは書かれていませんが、大昔風ではありません。女性のドレス、
王子の服装など、20世紀初頭か現代かという感じです。

2ページ見開きで左に文章、右に絵です。左の文章の上には、楽譜が装飾的に
描かれています。それぞれの場面の楽譜かと、思いますが?
(「白鳥の湖」をそれほどは知らないので、当て推量です)


「白鳥湖 SWAN LAKE」 M・ヘルプリン作  C・V・オールズバーグ絵  村上春樹/訳 河出書房
白鳥湖 amazonにリンクしています。
「白鳥の湖」ではなく、「白鳥湖(はくちょうこ)」です。英語をそのまま訳せば
「はくちょうこ」になるのでしょうか。「Lake of Swan」じゃないので。

このお話は、この題名のように似て非なるものです。もちろん、妙なお話ではありません。
そもそも、白鳥の湖で人間が白鳥にされていることの方が、不思議ですが、それが普通に、
白鳥の湖のお話と、考えてきましたので、納得していました。

ところが、この「白鳥湖」では、現実的にありえるお話として、いままでの「白鳥の湖」とも、
整合性を持たせて、描かれています。「白鳥の湖」を納得できる考え方で、書き直したものと思えます。

登場人物の名前は、同じです。王子様もオデットも出てきます。でも、さらにその娘、その両親、
家庭教師、乳母などが登場します。

お話は、王子様が結婚するまでに、少数民族との行き違い、権力を握った臣下の問題、そして、
王子さまがオデットと一緒になってからの悲劇、その後のお話が描かれます。

詳しい内容は、是非お読みください。このお話は、内容を書いてしまうと、おもしろさが
無くなってしまいますので。

絵はオールズバーグです。これも楽しみの一つです。さらに、村上春樹の訳は、いいです。
表紙絵がどこにもないのが、残念ですが新刊でも扱っています。


「くるみわり人形とねずみの王さま」 
E.T.A.ホフマン原作 / リスベート・ツヴェルガー絵  山本定祐/訳 富山房

「くるみわり人形」DVD amazonでDVD検索してあります。
ツヴェルガーの絵ということで、遠い図書館から取り寄せてもらいましたが、
この本は、絵本というより絵が挿絵状態になっています。
訳者によると、ツヴェルガーの原作本(向こうで出版された原著)では、
お話が短くなっていたので、訳者がホフマンの原作を訳したということです。
そのために、ツヴェルガーの絵は、挿絵状態のようです。
ツヴェルガーのファンとしては、訳者よ、何てことを!です。

で、物語はセンダックの絵本とほぼ同じ調子で、書かれています。
ツヴェルガーの絵は、ところどころに出てきます。

ツヴェルガーの「くるみわり人形」は、下記の絵本があります。
こちらは、「白鳥の湖」と出版社が違うので、シリーズものではないと思いますが、
翻訳者は同じです。
ツヴェルガーに興味がおありの方は、下記の方が良いと思います。
「くるみ割り人形」
E.T.A.ホフマン原作 / リスベート・ツヴェルガー絵 / ズザンネ・コッペ文 / 池田 香代子・訳  BL出版

この絵本は、上記の絵本を描いてから、23年経ってツヴェルガーが、
もう一度新しく描き直したものです。以前の絵が気に入らないなどの理由ではなく、
もう一度描いてみたいという気持ちだったようです。

前作以上に、素晴らしい絵になっています。文のズザンネ・コッペによる「まえがき」によると
ツヴェルガーは、ホフマンの力ある言葉、ユーモアとウィットにとんだ物語が、
大好きだそうです。

前作の絵本より絵はやや象徴的な感じです。描かれた部屋の様子も、家具などを詳しく
描かずに、簡素化されています。
文章もコッペが短くしているそうです。ただ、何冊か「くるみ割人形」を読んでいるので、
このテキストは、やや違和感があります。おそらく、初めて読む人は感じないと思いますが。

BGMつきの朗読のCDがついています。


「魔笛」 ミヒャエル・ゾーヴァ画 / 那須田 淳・文  講談社
「魔笛」DVD amazonにて、DVD検索してあります。ご参考にどうぞ。
1998年にフランクフルト歌劇場で、上演されたオペラ「魔笛」のために
描いた、舞台美術、衣装草案をもとに構成された絵本です。
オペラ「魔笛」を知るために、簡単なストーリー紹介の本として読むことも
出来ます。しかし、何といっても、ゾーヴァの絵が、とても素敵で、画集の
つもりで見て十分に楽しめます。

「魔笛」は、モーツァルトの生涯最後の年に作られたオペラです。
簡単にストーリー紹介
  王子タミーノが、夜の女王に娘のパミーナを、ザラストロから助け出して欲しいと頼まれます。
  鳥刺しのパパゲーノがお供します。しかし、ザラストラのもとで、夜の女王の本当の姿を知った
  タミーノ王子が、様々な試練を乗り越えて、善と光の国に達し、パミーナと結ばれます。
  鳥刺しパパゲーノにもパパゲーナというお嫁さんがきます。


「1000の風1000のチェロ」 いせ ひでこ作  偕成社
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1995年の大震災の3年後神戸で行われた、
復興支援コンサート「1000人のコンサート」
作者のいせひでこさんも、参加しています。
このコンサートに参加し、大震災の様子を絵本にすることが、
できたと、いうことです。
それまで、どのように絵本にしたらよいか、考えていたのだそうです。

内容は、グレイという犬のかわりに、チェロを弾き始めた少年ぼくと、
震災にあった少女、おじいさんが、それぞれの、震災を抱えて、
復興支援コンサートに参加するおはなしです。
わたしは、この絵本を2度朗読したことがありますが、
最後の場面で、泣かないように朗読するのが大変でした。



「ネコとクラリネットふき」 岡田 淳〔作〕  クレヨンハウス
荒唐無稽と言えば、荒唐無稽ですが。
でも、ほのぼのと気持ちがふっくら、豊かになる絵本です。
ある日、仕事から戻るとドアの前に、ネコがすわっていました。
ごく普通のネコです。でも、ミルクもアジの干物も食べません。なぜか、クラリネットを
吹くと、大きくなるのです。ネコは、クラリネットを吹くごとに、大きくなります。
やがて、家が壊れてしまうほどになりました。

そして、引越しをしました。ネコの背中に。
ネコはクラリネットを吹くぼくを乗せたまま、歩き出しました。
そして、なんと、空を飛ぶようになるのです。
ネコとぼくは、クラリネットを吹きながら旅をする事にしました。

最後の一行
「よのなかで いちばんすてきなことは ネコといっしょに くらすことです。」

このクラリネットが、クラシックを吹いているかどうかは、定かではありません。
でも、音楽が身近に、ネコが身近にいる生活が、なんとも素敵です。

絵も同じ人が描いています。ペンで輪郭を取り、薄く色を付けるという絵です。
やさしいネコとクラリネットを吹くぼくが、絵からふんわり、優しく感じられます。


「ロバのおうじ」M.ジーン・クレイグ/さいわ バーバラ・クーニー/え もきかずこ・やく ほるぷ出版
グリム童話です。ロバの王子がリュートを弾きます。
古楽器の代表的な楽器として、ここへ登場させました。

こどものいない王様と王妃様が、まほうつかいに頼んで子どもを授かります。
ところが、王様が魔法使いへのお礼を約束どおりにしなかったために、
怒った魔法使いにより、ロバの王子が生まれます。

王子はとても賢く、外見がロバである以外はりっぱな王子でしたが、
王様も王妃様も、優しくしてはくれませんでした。王子は、城にやって来た
吟遊詩人にリュートを習います。そして、リュートをもって、ロバとして旅
に出てしまいます。

旅先で、素敵なお姫さまに出会いますが、そのお姫さまは、他所の国の王子と
結婚する事になります。ロバの王子は、再び旅に出る決心をして、お姫さまに
別れの曲を弾きます。すると、お姫さまはロバの王子が、好きだからどこへも
行かないで欲しいと、頼みます。「あなたがすきなの、あなたがなんだろうと
きにしないわ」と。

もちろん、この後は、ロバの王子は、素敵な人間の王子様になります。
そして、お姫さまと幸せになります。
でも、お話の途中は、ロバの王子の寂しさが、とても辛いです。
自分のせいではないのに、疎外感を味合わなければならない辛さ、しかも、
実際の両親から・・・・。

クーニーの絵は、その孤独がとてもよく表れています。
ロバの姿で、リュートを弾く中表紙も、孤独の中に、一種の安らぎを
感じる絵です。


「ディディ パリ75001ばんちオペラ座にすむネズミのバレリーナのおはなし 」
アンドレ・ダーハン作  きたやま ようこ訳   講談社

「ディディ」amazon
パリのオペラ座に住んでいる「ディディ」という名前の
ネズミが、バレーリーナになる夢物語です。

ディディは、オペラ座のシャンデリアの中に住んでいます。いつもいつもシャンデリアの
下で行われている、バレーの様子を見ては、練習をしていつか、バレーリーナになることを
夢見ていました。でも、それはとても難しい事でした。

当然とお思いでしょうが、このお話では、オペラ座のバレー団は、猫の集団なんです。
だから、ネズミにとっては、バレー団に入るのは、決死の思いになります。

でも、ある日とうとうディディは、ネコのバレー団のオーディションを受けることに
なりました。そして、素晴らしい踊り手として合格しました。
この時に、ネコのバレー団の監督さんは、「こんなに踊りが上手なネズミは、硬くて
不味いに違いない」と自分に言い聞かせました。

やがて、相手役に選ばれたネコと主役を踊る事になります。相手役は、どうしてディディが
こんな風に上手に踊れるのか不思議がりました。そこで、ディディは、シャンデリアの家に
招待しました。シャンデリアからは、下の舞台の様子がすっかり見えます。ここで、毎日
レッスンに励んだのは、すごいネズミだと感心しました。相手役のネコは、食べ物としての
ネズミ以外にネズミに感動したのは、初めてでした。

そして、初日、両親も招待し、素晴らしいバレーを見せました。ネコのバレー団に
ネズミのスターが誕生した、と終わります。

お話の中に、オペラ座の怪人もでてきます。シャガールの絵の天使たちも。
みんなディディのお友達で、ネコのバレー団に入ることを応援しています。

絵は、そのシャガール風な感じです。柔らかい色使いで、天使が飛んでいる様子など、
シャガールの絵を思わせます。


「アーサー・ラッカム 改訂版 E.T.classics 」アーサー・ラッカム画  
大瀧 啓裕監修・解説  河出書房新社

この本は、アーサー・ラッカムが描いた挿絵作品集です。
アーサー・ラッカムは、20世紀初頭にイギリスで活躍した画家です。
この時代に、クリスマスなどに豪華な挿絵の絵本が、プレゼント用として作られ、
その中でもアーサー・ラッカムは、可憐で繊細な絵を描き、挿絵画家の最後の
巨匠と言われます。

繊細で美しい絵は、いつまで見ても飽きる事がありせん。
この本では、「ニーベルゲンの指環」「不思議の国のアリス」などの代表作など、
多数が収められています。
この作品集は、改訂版と書かれている通り、以前に「アーサー・ラッカム」という
書名で、刊行された作品集があります。1997年頃の出版ですので、
図書館でお探しの時には、こちらが見つかるかもしれません。

そして、私が実際に手にとって見たのは、「ニーベルンゲンの指環」シリーズで、
寺山修司訳のものです。
これは、もちろん、ワーグナーの楽劇「ニーベルゲンの指環」です。
新書館から出ています。「ラインの黄金」の序夜から「ワルキューレ」
「ジークフリート」「神々の黄昏」まで、揃っているはずです。冊数では、全4巻です。
ただし、この「指環」は、高橋康也が、訳したシリーズも同様に新書館からでています。
絵は確かめていませんが、ラッカムの同じ物と思います。
高橋康成の方が、新訳ということでした。調べがはっきりついていませんが、刊行は
同時期のようです。なぜ、2種類あるのか?よくわかりませんでした。

ラッカムの絵は、素晴らしいのですが、残念な事は、挿絵がまとめて入れられて、
最初に数枚、途中に数枚と、文章と絵がかみ合っていませんので、絵本として
扱うのには、やや難があります。(高橋康成の訳は見ていないのですが)
それでも、美しい豪華本をもらった子どもたちの喜びようが、手に取れるように
わかります。

また、ラッカムの絵だけではなく、寺山修司と言う天才の訳も楽しみです。
おそらく、大きな図書館では、持っていると思います。探して一度、覗く
価値はあります。
「ニーベルングの指環」DVD amazonで検索してあります。ご参考にどうぞ。


「愛らぶモーツァルト」  小沢 一雄・著  ポトス出版
Amazonで、表紙ご覧下さい。
モーツァルトの生涯のエピソードを、ひとコマ漫画にしています。
有名なエピソードを描いていますが、モーツァルトの生涯を「愛」という視点で、
追っています。
モーツァルトを天から授かった才能の持ち主としてみる方には、
あまりお勧め出来ないようです。
でも、結構人間モーツァルトとして、おもしろいです。
絵はモノクロで、線画です。


モーツァルト おはなし音楽会 照屋正樹・監修 戸部翼・絵(切り紙) 博雅堂出版
Amazonで、表紙ご覧下さい。
モーツァルトの生涯が、分かり易くまとめられています。
素直な文章で、予断のない考えを持つことができます。
割合モーツァルトって苦労したんだなあ〜って。(^^ゞ
また、絵がとても素敵です。切り紙のモノクロのすっきりした挿絵は、
各ページに入り好感のもてる構図です。

さらに、CD付きでモーツァルトの生涯に合わせて、選曲されています。
モーツァルトを知って、曲もちょっと知りたいという方には、お勧めです。


「モーツァルト」 エルンスト・A.エッカー文 / ドリス・アイゼンブルガー絵 / 宮原 峠子・訳  
河合楽器製作所・出版部

こちらもモーツァルトの生涯を紹介した絵本です。
ですが、上記の絵本と比べるとこちらはより真実に近いかもしれないと
思わせます。上記の本がお行儀良いお手本とすると、こちらは人間の本性は
こんなものよ、と言っているような感じがあります。

絵は、モーツァルトの時代をとってもよく表現している感じの色使いです。
たぶん、水彩と思いますが、すこしくすんだ華やかな色彩といったらいいのでしょうか。
落ち着いて、大人が楽しめる絵です。

こちらにもCDが付いています。曲は、上記のものとかなり重複しています。

私は、上記3冊を上から順に読みました。偶然にそうなったのですが、その読み方が
あたりのような気がします。まず、ひとコマ漫画でふーんと言って、素直に生涯を知って、
そうか、これが真実か、と進みます。そして、気に入った曲をCDで聴いてみる。
ふむふむとなって、さらに気に入った曲は全曲聴いてみるということになります。


「目で聴くコンサート 2」  雨田 光弘・絵 / 栗原 千種・文   博雅堂出版
「猫の音楽会シリーズ」というシリーズで、5冊あります。
その中で、この2はハイドンとモーツァルトの曲を取り上げています。
雨田光弘は、音楽家(チェリスト)で、画家です。

猫たちがオーケストラを作って演奏するのですが、一つのストーリーでできている
物語ではなく、見開きページごとのエピソードで綴られています。
前半はハイドンです。ハイドンの有名な「びっくり交響曲」「さよなら交響曲」です。
後半のモーツァルトは「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」「魔笛」です。

ハイドンは、モーツァルトの時代最も有名な音楽家でした。そのハイドンはモーツァルトの
才能をよく理解し、モーツァルトはハイドンを尊敬していました。モーツァルトはハイドンに
捧げる曲を6曲も作ったほどです。
そんな2人なので、この絵本でも一緒なのでしょう。(絵本の最初に古典派を取り上げるとは
書いてありますが。)

「目で聴く」というとおり、猫の表情や仕草がとてもかわいく、曲の雰囲気をよく表しています。
実際、絵の中から、オーケストラの音が聴こえてきます。(ほんとにそんな感じがします。)
猫もミケやトラなどたくさん出てきて、猫好きにもお勧めです。

また、最後に書かれていますが、ハイドンの「おもちゃのシンフォニー」は、
モーツァルトのお父さんレオポルトの曲が元になっているそうです。
著作権問題がなかった時代のお話ということです。びっくりです。(゜o゜)


「オペラのすべて」  アレッサンドロ・タヴェルナ著 / 高田 和文・訳   ヤマハミュージックメディア
絵本で読む音楽の歴史というシリーズで、1〜8まであります。
「オペラのすべて」は、7です。
この中に、モーツァルトのページは、見開き2ページ分だけですが、その雰囲気は、
とてもよく出ています。
読み応えのある絵本で、(というより、目で見る図鑑の感じです)オペラについて、
たっぷり解説が載っています。時代を追って、オペラの変遷を描き、作曲家を個々に取り上げ
オペラの制作の様子も描かれています。
オペラに興味を持ち出した方にぴったりの絵本です。
また、多少の知識がある方でも、目で見るという楽しみが、加わっていますので、
一読することは、損はないと思います。


「モーツァルトと古典派音楽」 フランチェスコ・サルヴィ著 / 畑 舜一郎・訳  
ヤマハミュージックメディア

上記の絵本のシリーズの3です。
モーツァルトの生涯について書かれたものですが、生涯を追いながら、オペラ、鍵盤楽器、劇場、
ウィーンなど様々なモーツァルトを囲む要素を解説しています。
見開き2ページが一章ずつに構成され、中央の大きな挿絵のほかに、写真や昔の絵などが、
ふんだんに使われています。

また、章の中には協奏曲、ソナタ形式などもあり、音楽の知識を簡単ですが説明してくれます。
モーツァルトが生きた時代、場所、世界を多角的に見せてくれる本で、お買い得!?です。
ただし、モーツァルトの生涯をまず知りたいという方には、このページの最初に紹介した
「モーツァルトおはなし音楽会」「モーツァルト」の方が、分かりやすいと思います。
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