「ファンタジー」

絵本編 『かいじゅうたちのいるところ』
    『ジュマンジ』
    『おじいさんの机』

児童文学編 『えんの松原』
      『狐笛のかなた』
      『僕僕先生』

チョッコラム


オンライン書店ビーケーワン:かいじゅうたちのいるところ 「かいじゅうたちのいるところ」 モーリス・センダックさく  じんぐう てるお・やく  富山房
センダックの絵本は、不思議でちょっと不気味な感じです。
かいじゅうって、「怪獣、海獣」なんでしょうか。
主人公のマックスはおおかみのぬいぐるみを着たら、いたずらを始めておおあばれとあります。
そして、お母さんに怒られると、遠いところへ船旅に出て、かいじゅうたちの王様になります。
かいじゅうたちの王様になったマックスは、とても楽しそうです。
でも、ある日、とても美味しいにおいがして。
マックスは、かいじゅうの王様をやめることにしました。、
おかあさんの夕ご飯には、かいじゅうより、なにより魅力が。

センダックの絵は、不思議な感覚です。
かいじゅうが画面いっぱいに広がり、目をぎょろりとさせています。
怖くはないけど、夜遅くひとりで暗がりでみたら、ちょっと不気味で、
後ろを振り返ってしまうかも。
文字は少なく、見開き2ページずつで進んでいきます。

「ジュマンジ」 クリス・ヴァン・オールズバーグさく へんみまさなお・やく  ほるぷ出版
オールズバーグは、映画になった作品が
幾つかありますが、この「ジュマンジ」もロビン・ウィリアムズ主演で、
映画になりました。でも、映画とこの作品はかなり違います。

両親に留守番を言いつけられた、ピーターとジュディが、公園で
「ジュマンジ」というゲームを拾います。ゲームは簡単なサイコロを
転がして進むボードゲームです。ところが、始めてみるとジャングルが
家の中に出現する、とんでもないゲームでした。
サル、サイ、案内人などサイコロが転がる度に、出てきます。
そして、注意書きには「とても大事なこと。いったんこのゲームを
はじめたら、だれかがジュマンジにつかないかぎり、ゲームは
ぜったいにおわりません。」ということです。

ジュマンジとはジャングルを抜けてたどり着く、都市の名前です。
どちらが、ジュマンジに着いたのでしょうか。それとも、着けなかったのか?

この本の絵は、モノクロです。でも、読み終わってみると、
色彩豊かな絵が頭の中に浮かんできます。
あるいは、モノクロの写真のように見えます。
絵の視点も上からだったり、下からだったり、動物の目の前だったりで、
臨場感があります。


オンライン書店ビーケーワン:おじいさんの机 「おじいさんの机」 立松 和平・文 / 鈴木 まもる・絵  河出書房新社
大都会に引っ越してきた寛太くんが、田舎のおじいさんから机を贈られます。
その机には、秘密があって引き出しを開けると、田舎のおじいさんの田んぼが
広がっているのです。おじいさんが大好きな寛太君は、おじいさんに会いたくなると、
この机の引き出しを開けました。そして、一年間、お米を作る手伝いをします。
でも、この魔法は、一年間だけで後は普通の机になりました。

魔法の机を通して、稲作の一年を追っています。米の命、米を巡る命について
おじいさんが、寛太君に教えるのです。

絵は綺麗な色を使って描かれた端整なものです。稲の花、実った稲、
コンバインで刈る稲刈りのシーンなど、印象深い絵がいくつもあります。


「えんの松原」 伊藤遊  太田大八・絵  福音館書店 オンライン書店ビーケーワン:えんの松原

平安時代のお話です。
理由あって女装をして、宮中に居る少年と、
東宮(皇太子)が出会います。
宮のすぐそばに、えんの松原と呼ばれる、昼なお暗い松原があります。
文字通り、怨を持ったモノタチが集まっているのです。
少年と東宮は、自らを生かすためにも、このえんの松原に挑みます。
でも、所謂、物の怪退治の大冒険とは違い、自分を見つめ、物の怪を
見つめ、世の中を見つめます。
優しく見守る、脇の伴内侍も素敵です。



「狐笛のかなた」 上橋菜穂子   理論社 オンライン書店ビーケーワン:狐笛のかなた

このお話は、伊藤遊より、さらにファンタジー色が強いようです。
物の怪、鬼、幽霊などは、もしかしたら、そこに、居るかもしれないけど、
使い魔なんていう狐がいて、人間に化けているなんて、ちょっと、考えられませんから。
でも、読み始めると、そんな現実は忘れて、夢中になってしまいます。
そして、何より小夜(聞き耳という他人の心を読む力を持っている)、
野火(使い魔と呼ばれる霊狐)の二人には、泣かされます。
切なくて、哀しくて。
物語の舞台は、戦国時代風で、架空の湯来ノ国と春名ノ国。
この二国が、親の代からの水源地、若桜野の領土争いをしています。
その争いに、小夜、野火、そしてもう一人、領主の息子、小春丸の3人が、
巻き込まれていきます。
お話に出てくる情景は、春のやわらかさなどを、自然に感じさせてくれます。



「僕僕先生」 仁木 英之・著  新潮社 オンライン書店ビーケーワン:僕僕先生
第18回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作品です。
ひとこと、「おもしろい」です。

仙人とのらりくらりと暮らしていた、今で言えばニート青年が、冒険して
互いに必要な人間であることを確認し、ニート青年が普通の働く青年に
なるお話です。といっても、結局は仙人に迎えられて、仙界へ行くようですが。

舞台は昔の中国です。役人を退職した父親の財産をあてにして、働かず、
毎日まったりと暮らしていた王弁は、ある日仙術に凝っている父の使いで
仙人のところへ出かけます。
その仙人は、大方の予想を裏切り美少女といういでたちで、「僕僕」と
名乗ります。ただ、美少女の姿だけでなく、仙人らしい?白髪の老人にも
なります。どちらが本体か、最終的にも明かされませんが、おそらく
美少女が本体と思わせます。

王弁は、仙人になる資格がないけれど、仙人と縁をつなぐ事ができる
体質と言う事で、「僕僕」と旅に出ます。もちろん、仙人との旅ですので、
普通の旅とは、ちょっと違うものでした。

やがて王弁は、「僕僕」を恋人のように思うようになりますが、「僕僕」の
側も、王弁は無くてはならぬ人と、考えます。この結びつきが、さまざまな
異界での冒険に繋がっていきます。

このおはなしを読むと、まったり暮らしているのが、どうしていけないかと
最初は思えます。やがて、それは悪い事と決め付けられませんが、やっぱり
人の役に立つことは、人として一番居心地が良いのだと、わかります。

この本はシリーズ化され、『薄妃の恋』『胡蝶の失くし物』と3巻まであります。
チョッコラム
『かいじゅうたちのいるところ』は、オペラがあります。
また、最近映画化されたということも聞きました。
不思議なかいじゅうの姿が、CGとか最近流行の映像処理で
見られるのでしょうか。

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