「神々の世界へ」
『アマテラス』
『ギルガメシュ王物語』
『聖なる夜に』
チョッコラム


オンライン書店ビーケーワン:アマテラス 「アマテラス」  東 逸子・絵 / 舟崎 克彦・文  ほるぷ出版

まず、東逸子の絵に惹きつけられます。
その美しいこと、まさに神話世界です。おそらくエッチングと思うのですが、
切り取って額装したくなります。表紙にも使われている絵は、アマテラスが
天岩戸を少し開いたところですが、周りの闇の色が、アマテラスによって、
少しだけ明るさをつけた色になっています。細く開いた光は、希望の色を
見せて美しく輝きます。

お話は、記紀の天岩戸のお話です。アマテラスが生まれたところから、
スサノオが高天原を追われるまでです。
文章もわかりやすく書かれているので、記紀のお話を知らない人でも
楽しめます。

なお、この絵本は「世界の神話絵本」というシリーズで、
アマテラスを含め8冊あります。
旧約聖書2、エジプト、アステカ、ギリシャ、インド、ケルト
の神様たちのお話です。どの本も文は舟崎克彦ですが、絵はそれぞれ違います。
どの絵も素晴らしいです。


オンライン書店ビーケーワン:ギルガメシュ王ものがたり 「ギルガメシュ王ものがたり」 ルドミラ・ゼーマン文・ 絵 / 松野 正子・訳  岩波書店
ギルガメシュ王とは、メソポタミアの王さまです。では、なぜ、『神様のお話』なのか。
ギルガメシュ王の物語は、5000年も前に粘土板に記された「ギルガメシュ叙事詩」からできています。
王は、神様が人間の世界に遣わした神でもあり、人間でもあったのです。
メソポタミアの古代神話です。そして、このお話をもとに、各地の神話や旧約聖書が書かれました。

この絵本は、3巻シリーズです。まず、ギルガメシュがどのような人物で、というところから
はじまります。そして、エンキドゥという友人を得る話です。

エンキドゥも神様が動物の中に使わした人間です。だから、ギルガメシュと同じく、神と人の狭間の
人間です。ですが、ギルガメシュが人間の中にいても、人の心を持たなかったので、神はエンキドゥを
動物と暮らすように森に送りました。

やがて、エンキドゥは狩人と出会いますが、動物を殺す者を許せず、狩人を追い払います。
このことで、森には「世界一強い人」がいると言う話が伝わりますが、ギルガメシュは自分が
世界一強いのだと、エンキドゥを倒すと、言い出します。
エンキドゥを森からおびき出すのに、歌うたいのシャマトが選ばれます。
やがて、シャマトとエンキドゥは、連れ立って森を出ます。

一方、ウルクではギルガメシュが、エンキドゥが来るのを待ち構えていました。
そして、二人はウルクの高い城壁の上で戦います。
二人の強さは同じで、勝負がつきませんでした。ところが、突然、城壁が壊れギルガメシュが
落ちてしまいます。すると、エンキドゥは身を乗り出し、ギルガメシュの腕を掴み、引き上げたのです。
こうして、二人は互いを信じ、友人としてウルクで暮らし、国民のために政治を行うようになりました。

この後に『ギルガメシュ王のたたかい』『ギルガメシュ王の最後の旅』と3巻で完結です。


オンライン書店ビーケーワン:聖なる夜に 「聖なる夜に」  ピーター・コリントン作  BL出版
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作者のコリントンは、イギリス・リンカーンシャ生まれとあります。
大学で美術と写真を学び、アニメ作品も描いているようです。

この絵本は、文字がありません。でも、絵だけで充分すぎるくらい、お話が分かります。
このおはなしは、言うなれば「イギリス版かさ地蔵」です。
ただし、1ページ目から出てくるおばあさんは、「かさ地蔵」の雰囲気の人の良い
おじいさん、おばあさんの感じはありません。
ひと目で今までの生き方が分かるような顔つきです。おそらくちょっと偏屈な所のある
おばあさんだな、と思わせます。

お金が無くて、クリスマスを過ごせないどころか、食べ物も無い状態です。
町でお金が稼げなかったおばあさんは、仕方なくアコーディオン売ってお金にしますが、
それをひったくられます。何と言う不幸でしょう。
引ったくりの男を追っていくと、教会へ。
男は教会の寄付金までもって行こうとします。おばあさんは、必死にそれを取り戻し、
倒された聖夜の飾り物の人形、マリア、イエス、ヨゼフ、羊飼い、東方の三賢人を
起こします。

お話が面白いのは、このあとです。かさ地蔵と同じ展開ですが、人形たちが本当に
動き回って助けるのです。
東方の三賢人は自分たちの宝物を売ってお金を得、それを持ってスーパーに買い物に
行きます。人の半分の大きさも無い人形のお買い物姿は、とても愉快です。
さらに、ヨゼフは大工さんですから、床を張りなおしたり、本当に面白いです。
最後のページ、おばあさんの家の(貨車の古物のようですが)上に奇跡の星が輝きます。
チョッコラム
『アマテラス』絵本のシリーズは、素晴らしい絵で世界の神々を
描いています。
でも、文は皆同じ舟崎克彦です。で、この読みご存知ですか。
「ふなざきよしひこ」と読みます。
私も最近まで知りませんでしたが、日本の神話シリーズを
読み聞かせして、分かりました。

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