おまけ YA部として、いわゆるヤングアダルトとよばれる
児童文学をご紹介します。
これこそ、大人が読むものじゃない、と言う方が
多いと思います。
私もそう思います。
本当に、お好きな方だけ、お読み下さい。
ファンタジー、冒険、夢、希望、
そして、遠い日々が懐かしい方、是非、一度ページを
めくって下さい。
おとなが読める児童文学を
集めたつもりです。
| 未読の気になる本はこちら |
ファンタジーは、「ファンタジーランド」のリストに移行しました。
*表紙絵の代わりのテキストは、クリックするとAmazonにいきます。
Amazonで、表紙確かめてください。
「夏の庭」 湯本 香樹実 新潮社
3人の小学6年生、親のアルコール依存症、
親の離婚、進路などの問題を抱えています。
その3人が、死人を見てみたいと、
近くの一人暮らしの老人を観察し始めます。
ところが、老人は3人が観察を始めると、
むしろ、元気になり、次第に子どもたちと、
仲良くなります。
夏の間、老人と子どもたちは、様々な経験をしますが、
老人は、秋の初め、葡萄の頃に一人死んでしまいます。
そして、3人は、それぞれ新しい道へ進んでいきます。
それぞれの抱えた問題に、解決を見つけようとして。
「もうひとりの息子」 ドリッド・オルガッド作 樋口 範子 /訳 橋本礼奈/絵 さ・え・ら書房
1960年代のイスラエルのお話です。 ユダヤ人の老女の家に、アラブ人の医学生が、下宿をします。 しかし、ユダヤ人の家主は、最愛の息子をアラブ人に殺され、 精神状態が異常になり、娘たちとも心を通わせていませんでした。 アラブ人の医学生は、テルアビブで下宿を探し、 断れ続けていました。 医学生は、ハミッドといい、周囲は、兄のいるドイツへ 留学を勧めています。 ユダヤ人の家主、ミリアムは、ハミッドを息子と間違え 「ハイム」と呼びます。 ハミッドは、不信感を抱きながらも、下宿が見つからず、 唯一迎え入れてくれたミリアムの家に、下宿します。 その後、ミリアムはハミッドと暮らすことにより、 気分も落ち着き、平穏であたたかい日常を取り戻します。 しかし、ミリアムの娘たちが、母を心配するあまり、 ハミッドを追い出してしまいます。 ハミッドがいなくなると、ミリアムは再び、心を閉ざしてしまい、 わずかな記憶を頼りに、ハミッドの居る村に出かけ、 怪我を負ってしまうのです。 元は、同じ民族であったという、ユダヤ人とアラブ人、 あれほどまでに、憎みあわなくてもと、日本人である、 私は思いますが。 そこには、2000年に亘る対立の歴史があるようです。 しかし、この本の最後は、希望があります。 ミリアムとハミッドを中心にして、ユダヤ人とアラブ人に 希望が広がっていくことを、誰もが願うでしょう。 この本の挿絵は、とびらと最後にあるだけで、 とても少ないです。でも、とても良い絵です。 お気に入りになりました。
「シャーロットのおくりもの」 E.B.ホワイト作 ガース・ウィリアムズ絵 さくまゆみこ/訳 かなり、評判の良い本です。 ロングセラーです。 最初、表紙を見た時にシャーロットとは、女の子の名前かと思いました。 でも、シャーロットとは蜘蛛の名前です。しかも、とても理知的な蜘蛛です。 このシャーロットが、こぶたのウィルバーを助けるお話です。 ウィルバーは、他の兄弟たちより小さく生まれ、その場で処分するはずでしたが、 娘のファーンが育てるので、助けて欲しいと願います。 そして、願いどおり、ファーンが育てることになります。 でも、五週間で売りに出されました。幸い、おじさんの家に売ることになりました。 私は以前に、養豚の話を読み聞かせしたことがあり、子豚は6ヶ月くらいで、 肉にされてしまうのを知っています。だから、このお話の最初から、ウィルバーは、 殺されてしまうのだと、切なくて、読むのがちょっと怖かったのです。 でも、売られた先の飼育小屋には、蜘蛛のシャーロットがいて、かならず、 助けてあげると約束するのです。 本当に?と思いながら、読み進めました。 小屋には、ガチョウの夫婦、羊、ねずみのテンプルトンがすんでいます。 このテンプルトンが、後に活躍します。 ねずみの活躍というと、「グリーンマイル」を思い出しますが。 テンプルトンは、良いねずみというわけでもないのですが、結局は、 力を貸すということになります。 でも、何といっても、蜘蛛のシャーロットは、話すことが哲学的だし、 理知的だし、とても素敵な人物?として、描かれています。 ウィルバーを助けると同時に、自分の一生は終わリますが、やがて、 その子どもたちが生まれ、再び、ウィルバーの友達になります。 じっくりと、でも、2時間ぐらいで読めるので、お手ごろです。 人生をちょっと、考えるかもしれない本です。
「天国の五人」 ミッチ・アルボム 小田島 恒志・ 小田島 則子・訳 日本放送出版協会
「モリー先生との火曜日」の著者の初めてのフィクションです。 物語は、主人公が死んだところから始まります。幽霊になるわけではなく、 天国で五人の人と逢うと言うお話です。 五人はそれぞれ、主人公と関わりあった人物ですが、主人公の知らない事実を知っています。 五人の話から、すべての人間、すべての出来事は、繋がっているということが、わかります。 そこで、魂の平安を得、本当の天国へ行くようです。 私は、やはり日本人で、仏教徒(というより私自身の考え方は、アニミズムに近いのですが) なので、ちょとこれを天国と言われると、違和感があります。 でも、天国と無理やり考えずに、読んでみると、なるほど人間は一人で生きていて、 役に立たない人生などないのだなと、納得します。この考え方は、結構東洋的かも しれないですね。 このへんからも、平成17年度の課題図書に選ばれた理由が分かるような気が・・・。
「秘密の道をぬけて」 ロニー・ショッター 千葉 茂樹・訳 あすなろ書房
この本は、久々にどきどきしながら読みました。 短いですので、一時間もあれば読めるのですが、どきどきしっぱなしでした。 といって、あのめまぐるしいハリポタとは違って、じっくり考えさせられるお話です。 アメリカに奴隷制度があった頃のお話です。「地下鉄道」と呼ばれる奴隷を逃がすための 秘密の組織、当時実際にあったそうです。その「地下鉄道」の「駅長」「車掌」として アマンダの両親は、活動していました。アマンダは、ある夜、表の騒がしさに目を覚まし、 両親の秘密を知ってしまいます。そればかりか、その後は両親を手伝います。 悪役として登場した人物が、意外なことをしたり、手引きをする人が来なかったり、 本当にはらはら、どきどきです。 そして、最後にカナダに逃げたハンナという奴隷だった少女から手紙が来ます。 これは、感動です。 こういう本を、子どもだけのものにしとくのは、勿体無いです。 是非、読んでみてください。
「びんぼう神様さま」 高草 洋子 地湧社
昔話風な物語です。びんぼう神をお祭りして、幸せになったお話です。 びんぼう神が、貧乏になっても恨み言を言わずに、びんぼう神を神棚に祭る 変わった家族、松吉の一家に住み着いています。でも、自分は何のために 神として生まれたのか、疑問を持ちます。その疑問に大神さまが、答えを 下さいます。といっても、はっきりした物ではないのですが、それでも、 充分びんぼう神は、満足でした。 やがて、村は飢饉に襲われますが、松吉の優しい心に答えた村人が助け合って、 乗り切ると言うお話です。 墨絵の様な絵が素敵で、びんぼう神の表情もなかなかです。
「白い人たち」 F.H.バーネット作 / 砂川 宏一訳・解説 文芸社
バーネットといえば、「小公子」「小公女」「秘密の花園」などが、有名です。 この「白い人たち」は、訳者が20年以上も前から、原作を探していた本です。 友人が85年も前の初版本を見つけてくれたことによって、世に出ることが出来ました。 主人公の少女は、はっきりとした年齢がわかりません。(私が読みそこなったかも知れませんが) でも、たぶん十代後半位かな、という感じです。 少女は、不幸で不思議な生い立ちを持っています。生まれながらにして、両親が亡くなっていたのです。 その出生が、この不思議を持つことに繋がっている、ということなのかもしれません。 少女が語る形をとっていますが、その中で、少女は「人間には普通の人と白い人たち」がいると、 言っています。「白い人たち」つまり、所謂幽霊です。少女は、幽霊を普通の人のように、 見ることができるです。といって、怖いお話ではありません。 人はいずれ死に赴かなくてはなりませんが、その後も、愛情ある人のところに いつも一緒にいると言うお話です。 人間にとって大事なことは、死とは永遠の別れではない、というテーマを、優しく語りかけてくれます。 「易しく」ではありません。様々な示唆に富んだ言葉を、作品中から拾うことが出来ます。 それをゆっくり咀嚼して、読んでいくと、優しさが心に満ち、穏やかな心持になれます。 このような本は、子どものためだけでなく、大人用としても宣伝されるべきです。
「村田エフェンディ滞土録」 梨木香歩 角川書店
梨木香歩の作品は、不思議な魅力にいつも引き付けられて、読んでしまいます。 読み進めるのが時には苦痛なくらい、作品の中は淡々と時間が過ぎていきます。 にもかかわらず、何故か、読んでしまうのです。「からくりからくさ」なんかもそうでした。 (これは、児童文学範疇にないと思うので、取り上げていませんが) そして、最後には怒涛のような時間が流れ、激動の事件が起こります。 この本は、平成17年度の課題図書になっています。 課題図書はどなたが選らばれるのか知りませんが、おもしろくない、というのが 子どもの頃からの先入観でした。で、この本も多分、選んだ中高生は、失敗したと思うでしょう。 でも、最後まで読んでみてください。読んで良かったと言う最後が待っています。 村田という青年がトルコに留学し、そこでの日々と帰国してからのその後のことが 書かれます。エフェンディとは、先生というほどの意味だそうです。 ちょっと、古めかしい感じがしますが、明治時代ということになっています。
| 前へ | ページTop | 絵本館Top | 次へ |