人にやさしくできなかった日に    絵本館Top


「おまえうまそうだな」 こちらは、2ページ目になります 
「おれはティラノサウルスだ」 「あめだま」
「にゃーご」 「ぬくぬく」
「青い馬と天使」 「かみさまになったゆうれい」
「海にかえった4頭のクジラ」 「よろこびの木」
「こんにちは おにさん」 「としょかんライオン」
「リディアのガーデニング」 「わたしはあなたをあいしています」
「ハリネズミと金貨」 「きりたおされたき」
「カモメに飛ぶことを教えた猫」
「聖なる夜に」
「ボートがしずんだの、だれのせい?」
「黒ねこのおきゃくさま」
「子ざるのかげぼうし」
「きみはおおきくてぼくはちいさい」
「すき」
「魔女のたまご」
「どこかに生きながら」
「あっ おちてくる ふってくる」
「ながいながいかみのおひめさま」
「さめびとのおんがえし」

オンライン書店ビーケーワン:おまえうまそうだな 「おまえうまそうだな」 宮西 達也/作・絵  ポプラ社
オンライン書店ビーケーワン:おれはティラノサウルスだ 「おれはティラノサウルスだ」 宮西 達也/作・絵  ポプラ社

心やさしいティラノサウルスのシリーズです。
「おまえうまそうだな」は、草食の赤ちゃん恐竜に
襲いかかろうとしたその時に「おとうさんですね」と
言われてしまいます。
そして、「ぼくのなまえ、うまそう、というのですね」と。

それから、ティラノサウルスは、一生懸命、お父さん恐竜に
なります。肉食の恐竜なのに、赤い実なんか食べて。
でも、草食恐竜と、肉食恐竜とは、別な生き物です。
最後にお父さんティラノサウルスが、したことは・・・・・?

「おれはティラノサウルスだ」もおなじようなお話ですが、
こちらは、ティラノサウルスの方が、プテラノドンの子どもに
助けれます。
「人にはやさしくするのよ」と言うお母さんの言葉に従って
恐ろしいティラノサウルスが、怪我をしていたところを、
助けるのです。
でも、やっぱり最後は、ティラノサウルスがかわいそうで、
泣けてしまいます。



オンライン書店ビーケーワン:にゃーご 「にゃーご」 宮西 達也/作・絵  鈴木出版

ねずみの学校の授業を聞かなかった、子ねずみ3匹が、
桃を取りに出かけます。そこへ「にゃーご」といって、ねこが。

ねずみの学校では、ねこは怖いと教えていたのですが、
授業を聞いていない子ねずみは、「一緒に、桃取りに行かない?」
と誘います。
ねこは、桃とねずみを食べられると喜んで、子ねずみを背中に乗せて、
桃の木へ出かけます。
そして、帰り道、ねこは、再び「にゃーご」と言って、襲い掛かるのですが。

子ねずみのやさしさが、なんともかわいいお話です。
小学校2年か3年の国語の教科書にも載っているそうです。




オンライン書店ビーケーワン:青い馬と天使 「青い馬と天使」 ウルフ・スタルク作 / アンナ・ヘグルンド絵 / 菱木 晃子・訳
ほるぷ出版

広い世界に神様と天使が二人っきりで、暮らしています。
「神様は、すべてのはじまり」なので、先にはパパもママもいないのです。

神様のこの寂しさを、感じてしまうと、恐ろしく孤独で、
神様の寂しさが、突き刺さってくるようです。
でも、神様は、天使と遊んでいるとそんなこと
忘れてしまうのです。(ああ、良かった。(^^ゞ

そこに、天使が欲しがった青い馬が誕生します。
天使と青い馬は、神様が嫉妬するほど、仲良くなります。
神様は、駄々をこねる幼子のよう。
でも、天使も青い馬も、神様を優しく諭します。
「いつかきっと、神様も恋ができるよ」って。

とても、優しげな絵と、神様が駄々っ子のように
描かれていて、神様を身近に感じるお話です。



「海にかえった4頭のクジラ」 ジェルミ・エンジェル/文  むかいながまさ・絵  小峰書店
海にかえった4頭のクジラ(えほん・こどもとともに)表紙画像がありませんが、bk1にリンクしています。
ニュージーランドで、実際にあったお話しです。
ダニーデンという港町に11頭のヒレナガゴンドウという
クジラが打ち上げられました。

ニュージーランドには、町ごとに自然保護局があるそうです。
ダニーデンでも、すぐに保護局に知らせが入りました。
保護局の局員トムが浜辺に行くと、すでに4頭は死んでいました。
でも、残りの7頭を救うためには、色々しなければなりません。

トム一人では、手が足りないので、ラジオのニュースで
取り上げてもらいます。
すると、孫を連れてくるおじいさん、ダイバー、モヒカンがりのロイ、
小学校の先生と生徒たち、など200人もの人が集まりました。

それから、集まった人たちは、クジラを助けるために、
バケツリレーをして、シートを引っ張って、
一日中かかって、4頭のクジラを救いました。

その間に、差し入れがあったり、様々な人が
協力します。
お話は、自然保護について書かれたものですが、
人々の協力する姿が、心を何となく和ませてくれます。

作者は、日本人の奥さんを持ち、長野県に住んでいます。
畑正憲氏の通訳もしているとのことで、訳者はいません。


オンライン書店ビーケーワン:こんにちはおにさん 「こんにちは おにさん」  内田 麟太郎・作  広野 多珂子・絵  教育画劇
絵本に登場する、たぬき、いたち、くま、いのししが、
かなりリアルな感じですが、ちゃんちゃんこを着ています。
それが、どこか懐かしい昔話風で、なかなかいいです。

赤ら顔のおには、たぬきといたちと、とっても仲良しですが、
くまといのししの前では、おおいばりをします。
ところが、ある日、大事件がおき、おには、家の中から
出てこなくなりました。

たぬきといたちは、毎日おにの家の前で、「あそうぼうよ」と
おにに呼びかけますが、おには出てきません。
とうとう、暑い夏の日に2匹は倒れてしまいます。

おにはおお慌てで、2匹を木陰に連れて行き、看病しますが、
2匹が目を覚ます時には、また、家の中に隠れてしまいました。
そこには、ある男が書いた手紙が残されています。手紙には・・・。

たぬきといたちの、一途な思いに泣かされます。
これほどまでに、ともだちに思ってもらえるおには、やさしい
心の持ち主なのでしょうね。

大事件も手紙もここには、内容を書けません。
どうぞ、読んで確かめてください。


オンライン書店ビーケーワン:リディアのガーデニング 「リディアのガーデニング」 サラ・スチュワート/文 デイビッド・スモール/絵 福本 友美子/訳  
           アスラン書房

1930年代、アメリカが不況の時のお話です。
田舎町に住むリディアは、暮らし向きが良くなるまで、町のおじさんのところで
暮らすことになります。その間に、出した手紙を文章としています。

町のおじさんは、パン屋です。意地の悪い人ではないのですが、にこりともしません。
リディアは、ガーデニングが得意で、パン屋を手伝いながら、お花をたくさん咲かせます。
周り中お花でいっぱいですが、おじさんは相変わらずにこりともしません。
やがて、おじさんの誕生日に向けて、リディアと従業員のエマは秘密の場所で、ガーデニングを
始めます。

文章の無い箇所が、ところどころあります。そこは、文章以上に、絵が語っています。
絵本の醍醐味というところでしょうか。
また、この本は、見返しから見返しまでストーリーになっています。
だから、文章の無いところは、表紙を含めて結構あります。
絵はスケッチに色をつけた感じなので、お花を一つ一つ細かく描いていませんが、
雰囲気のある絵です。

最後には、リディアの優しさ、おじさんの優しさに、泣かされました。(いつもだけど(^^ゞ

オンライン書店ビーケーワン:ハリネズミと金貨 「ハリネズミと金貨」 V.オルロフ原作 / 田中 潔・文 / V.オリシヴァング絵  偕成社
年寄りのハリネズミが金貨を拾います。
その金貨で冬支度をしようと考えますが、結局やさしさの中に生きているハリネズミは、
金貨無しで冬支度が整います。そして、最後に金貨をもう一度、道に置きます。

なんで?って、普通に考えると思いますが、ハリネズミは必要ないので、必要な人に、
使ってもらいたいと考えるのです。こんな人になりたいです。(^o^)

解説にロシアでは「100リーブルより100人の友を持て」という諺があり、
お互い困っている人を助けるのは、日常生活だったそうです。
そのようにしないと、あの社会は生きていけなかったようです。
ある意味大変な社会ですが、素敵な社会ともいえるのでしょう。

絵がとてもきれいです。現在ロシア一番のアニメ画家だそうです。
ちょっと気になるのが、ハリネズミです。この絵「きりのなかのはりねずみ」に
とてもよく似ているような気がします。
小さな荷物を傘にぶら下げているのも、同じようなかっこだし・・・。
たまたま似たのかな、と思っているのですが。


オンライン書店ビーケーワン:カモメに飛ぶことを教えた猫 「カモメに飛ぶことを教えた猫」  ルイス・セプルベダ〔著〕 / 河野 万里子・訳  白水社
未読のときは、この猫はとても哲学的で寡黙な猫だと、想像していました。
この本については、柳田邦男氏の「砂漠で見つけた一冊の絵本」で、知ってから是非読みたいと
思っていて、その時からずっと、きっと寡黙で哲学的なことを言う猫が、カモメとの約束を守るという
感動的なお話だと勝手に想像していたのです。

読み終わって、猫が哲学的でなかったとは言いませんが、寡黙ではないようです。

お話は、猫のゾルバが、重油まみれになったカモメが最後の力で生んだ卵を守り、生まれた雛に飛び方を
教えるというものです。でも、ひとり?ではなく、仲間の猫、大佐と秘書と博士と力を合わせ、最後には
人間の力も借ります。
ゾルバは、瀕死のカモメと約束を交わします。「生まれた卵を食べない、雛の面倒をみる、そして、飛び方を
教える」というものです。猫に男気というものがあるならば、そんな感じです。
ちょっと、「カサブランカ」のボギーを思い出させます。(^^ゞ
大佐、秘書、博士もそれぞれいい感じです。名前の通りというキャラクターです。

物語の随所にかっこいい言葉が出てきますが、最後にゾルバが言った言葉
「飛ぶことが出来るのは、心の底からそうしたいと願った者が、全力で挑戦したときだけだ、
ということ」

この物語を、どこにリストアップするかは少々悩みました。
まず、所謂絵本ではありませんが挿絵というよりは、絵があります。
重油にまみれたカモメということで、「環境問題」、猫が登場ということで「ねこ、ネコ、猫」
もあったのですが、結局ここが納まりいいでしょうということで。

なお、この本には、新書版もあります。↓
オンライン書店ビーケーワン:カモメに飛ぶことを教えた猫 「カモメに飛ぶことを教えた猫」  ルイス・セプルベダ〔著〕 / 河野 万里子・訳  白水社

オンライン書店ビーケーワン:聖なる夜に 「聖なる夜に」  ピーター・コリントン作  BL出版
作者のコリントンは、イギリス・リンカーンシャ生まれとあります。
大学で美術と写真を学び、アニメ作品も描いているようです。

この絵本は、文字がありません。でも、絵だけで充分すぎるくらい、お話が分かります。
このおはなしは、言うなれば「イギリス版かさ地蔵」です。
ただし、1ページ目から出てくるおばあさんは、「かさ地蔵」の雰囲気の人の良い
おじいさん、おばあさんの感じはありません。
ひと目で今までの生き方が分かるような顔つきです。おそらくちょっと偏屈な所のある
おばあさんだな、と思わせます。

お金が無くて、クリスマスを過ごせないどころか、食べ物も無い状態です。
町でお金が稼げなかったおばあさんは、仕方なくアコーディオン売ってお金にしますが、
それをひったくられます。何と言う不幸でしょう。
引ったくりの男を追っていくと、教会へ。
男は教会の寄付金までもって行こうとします。おばあさんは、必死にそれを取り戻し、
倒された聖夜の飾り物の人形、マリア、イエス、ヨゼフ、羊飼い、東方の三賢人を
起こします。

お話が面白いのは、このあとです。かさ地蔵と同じ展開ですが、人形たちが本当に
動き回って助けるのです。
東方の三賢人は自分たちの宝物を売ってお金を得、それを持ってスーパーに買い物に
行きます。人の半分の大きさも無い人形のお買い物姿は、とても愉快です。
さらに、ヨゼフは大工さんですから、床を張りなおしたり、本当に面白いです。
最後のページ、おばあさんの家の(貨車の古物のようですが)上に奇跡の星が輝きます。

この絵本は、図書館で見つけましたが、平成12年度に購入されて以来、
誰も借りていませんでした。新品同様でした。
確かに、子供用の本棚にあるし、子ども向きとは思えないお話だし、
と言うことで、誰にも見向きされなかったのでしょうか。
もちろん、子どもが読んでもそれなりに楽しめるかも知れませんが、
この絵本は、ちょっと人生を知った年代が読むといいかな、と思います。
こんな絵本が、本棚に埋もれているのが勿体です。


オンライン書店ビーケーワン:ボートがしずんだの、だれのせい? 「ボートがしずんだの、だれのせい?」 パメラ・アレン作 / ゆあさ ふみえ・訳  あすなろ書房
ペッファーさんのまきばは、うみのそば。と始まりますが、
絵の感じは、池か湖のような所に桟橋があり、小さな手漕ぎのボートが繋いであります。
そこへ、めうし、ろば、ひつじ、ぶた、ねずみがやってきて、次々に、ボートに乗り込
みます。最後に、ボートは沈んでしまうのですが、いったいだれのせい?と、乗り込む
順番に言い訳が描いてあるのです。

でも、最初のめうしが乗り込んだときから、ボートはもう半分くらい沈んでいたような
気がしますが・・・・。

いつも、何かが起きれば、誰かの責任で、誰のせいでこうなったのか、突き止めている
毎日ですが、ようく考えてみれば最初の「めうし」から、すでに沈んでいたのかもしれ
ないですね。だからって、「だれのせいで、こうなったの?」って言うのは、やめられ
ないけど・・・。


オンライン書店ビーケーワン:黒ねこのおきゃくさま 「黒ねこのおきゃくさま」 ルース・エインズワース作  荒 このみ・訳  山内 ふじ江・絵  
  福音館書店

文章は、イギリスの方が書きましたが、絵は日本人です。
でも、雰囲気のある柔らかな素敵な絵です。

昔、貧しいおじいさんが一週間に一度お肉を食べる日を、土曜日と決めていました。
その日も寒い日で、外には冷たい雨が降っています。
おじいさんは、肉を楽しみにして、掃除を終えますが、戸口で猫の鳴き声がするので、
扉を開けると、風と共にみすぼらしい黒猫が、入ってきます。
おじいさんは、可哀想に思ってミルクを上げました。ところが、この後、黒猫は、
おじいさんの楽しみにしていた、肉もミルクもパンも食べてしまうのです。

でも、おじいさんは黒猫のお客様が、飢えなかったことに満足し、さらに貴重な
薪まで使って、黒猫を暖めてやります。
なんてやさしいおじいさんでしょう。

私は、これでお話は終わりと思っていました。
ところが、この続きがあるのです。
続きは、えっ?て感じでしたが、でも、やっぱり人には(動物にも)親切にしておく
ものだな、と思います。
もちろん、こんなことが無くても、親切にするのは当然ですがね。

続きは、どうぞ、ご自分でお読み下さい。その方が、楽しめます。


オンライン書店ビーケーワン:子ざるのかげぼうし 「子ざるのかげぼうし」 浜田 広介・作  牧野 伊三夫・絵  集英社
サルとキツネとイヌが仲よく登場します。
大方のお話では、この取り合わせはあまり仲がよくないと思いますが、
そのことからも、ひろすけのやさしさが、伝わってきます。

子ザルが、しつこく付いてくる影法師を嫌がり、キツネが一生懸命
影法師を追い払う手伝いをしますが、なかなかうまくいきません。
イヌがやって来て、イヌは少し知恵ものだったようで、木陰に連れて行きます。
でも、これで解決とはなりません。けっきょく子ザルは、木の側を離れないことに
したのです。

影法師はだれにでもあるもので、というより光があれば当然影はできるのですが、
そこを、いやがる子ザルのために、キツネとイヌが協力するのです。
影法師を真剣に追い払おうとする、3人(匹?)を想像すると、とてもかわいいですね。

絵は、シンプルで木炭のスケッチに色をつけた様な感じです。
キツネとイヌは動物風ですが、子ざるはほとんど人間です。
でも、3匹とも服はきていますが。
オンライン書店ビーケーワン:きみはおおきくてぼくはちいさい 「きみはおおきくてぼくはちいさい」 
グレゴワール・ソロタレフ作   武者小路 実昭・訳  ソニー・マガジンズ

ライオンの王さまが、みなしごの小さなゾウと出会います。
王様は、はじめ小さなゾウをお城に入れずに追い返そうとします。
ところが、小さなゾウは行くところもなかったので、お城の扉の外で寝ていました。
次の日は、寒い朝でした。王さまは、小さいゾウを可哀想に思って、お城の中に入れ、
ご飯を食べさせます。その後、王さまは、小さなゾウの面倒をみます。王様とゾウは
いつも一緒でした。

やがて、ゾウがライオンの王様より大きくなると、お城から追い出してしまいます。
ゾウは、ひとりで暮らすようになりますが、いつも王様のことを思っていました。
ある日、ゾウがタクシーに乗っているとき、道端に寝ている王様を見つけます。
王様は、いばりすぎてお城を追い出されたのでした。
それから、ゾウと王様は二人で暮らします。
ゾウにとって王様はいつも王さまで、王様にとってゾウはいつでも小さなゾウなのです。

色使いがおしゃれです。王様とゾウの孤独を、広く取られた背景に感じます。
二人並んだ後姿に、ほほ笑ましい優しさを感じます。


オンライン書店ビーケーワン:すき 「すき」 トメク・ボガッキー作  木坂 涼・訳  セーラー出版
すき、きらい、どっち?と聞いて、かなり大胆に、「嫌い」と
言うトカゲ様の生き物と、「嫌い」と言われた、バクとブタを足した様な動物とのお話です。

言葉はとても短く「すき」「きらい」「かっこうがきらい」などです。
かなり、トカゲ様の生き物は、ストレートです。でも、次ページで「きらい」と言った
バク+ブタ動物の体の一部のおかげで、身を守られます。
そして、最後にはやっぱり「すき」です。

身勝手なようですが、そんなものですよね。本当に好きでも「好き」なんて、
ちょっと、言えないし。でも、言わないと行っちゃいますよ。


オンライン書店ビーケーワン:魔女のたまご 「魔女のたまご」 マデライン・エドモンドソン作  ケイ・シューロー絵  掛川 恭子・訳  あかね書房
「カッコウ」は皆さん、ご存知ですよね。
他の鳥の巣に卵を産んで、育ててもらうということ。なんと、このお話では、魔女の住まい
の鳥の巣にカッコウが卵を産んでいきます。

魔女は、友達が一人も居ない、いや、いらない何百歳にもなる意地悪魔女です。
魔女の仕事は、人間を怖がらすこと、夜になると町に行って人間を怖がらせています。
そこへ、突然現れたカッコウの卵、魔女は他の鳥が口出しするのを、自分で育てると、
追い返します。

生まれた雛は、魔女が育てて、大きくなりました。魔女とカッコウは、町で人間を脅かすのに
組んで脅かすようになります。魔女は、はじめて、相手を愛しいと思い、カッコウと居ることを
楽しみました。ところが、カッコウは冬になると、暖かいところへ、行きたいと言い出します。
カッコウの中のDNAがそうさせるのでしょう。魔女は行かないでくれと、頼みましたが、カッコウは
行かなければといって、とうとう南へ旅立ちました。魔女は、はじめて涙を流しました。
カッコウといるのが当たり前だったので、その寂しさは、今まで感じたことのない、感情です。

魔女は、仕事(人間を怖がらす)でくたくたになり、昼間はひたすら眠って、カッコウのことを
思い出さないようにします。当然、周りの鳥たちには、強がりを言います。

でも、ある日、カッコウは帰ってきました。オレンジの花をくわえて。
カッコウも暖かいところで、ずっと暮らそうと思ったけど、魔女のことが忘れられなくて、
戻ってきたのです。それから、カッコウは冬は南に行きますが、夏は、魔女と人間を脅かしています。

絵本より、文章量の多い童話的なお話です。絵も青一色のモノクロです。
でも、きれいな線で、すっきりとした絵で、私の好みの絵です。


「どこかに生きながら」 小川未明・作  いもとようこ・絵  
表紙絵は、「いもとようこの世界」で見る事ができます。
小川未明の童話をいもとようこが描いたものです。
野良猫の親子のお話です。
いもとようこが描く猫はとても可愛いです。お話はちょっと物悲しい感じがしますが。

野良猫の親子が安住の場を求めてさ迷いますが、なかなかありません。
さ迷い続けるうちに、優しい姉妹に出会い、母猫は子猫を姉妹に託します。
子猫は優しい姉妹に見守られ温かい家の中で暮らしますが、姉妹は母猫のことを思い、
子猫に話しかけました。でも、子猫は知らない顔でいると書かれています。
ところが、嵐の夜に急に外へ出たがります。外へ出ると、どこかへ行ってしまいます。
母猫を捜し求めているのだろうと、姉妹は思います。

この頃の物語は、このように物悲しい物が多いように思います。
私好みではありますが。


オンライン書店ビーケーワン:あっおちてくるふってくる 「あっ おちてくる ふってくる」
ジーン・ジオンぶん / マーガレット・ブロイ・グレアムえ / まさき るりこ・やく  あすなろ書房

「どろんこハリー」の作者コンビのデビュー作です。
また、1952年度のコルデコット・オナー賞(次席)を受賞しています。
なぜ、この絵本が半世紀もたって初邦訳なのでしょうか?とても素敵な絵本なのに。

ストーリーはありません。上からおちてくるもの、ふってくるものを、見開き2ぺーじで
様々描いています。文章も絵もとても優しく語り掛けてくれます。
花瓶の花びらが風に舞って落ちてくるから始まって、公園、果樹園、夏の浜辺、
冬のスケート、雨の日の町、郊外、何度見てもあきません。
それに、50年以上も前の絵本ですが、少しも古い感じがしません。

絵は、水彩の淡い色合いです。
最後のページのおとうさんと坊やの様子が、とてもやさしく見るものに語りかけてきます。


オンライン書店ビーケーワン:ほうすけのひよこ 「ほうすけのひよこ」 谷川 俊太郎・作 / 梶山 俊夫・絵  解放出版社
ある村に、「ほうすけ」という者がいました。
ほうすけは、家も家族もなく、村の近くの洞窟に住んでいます。
子どもたちが時折覗きに行くぐらいで、大人たちはどのような暮らしをしているのか、
気にしていません。
でも、ほうすけは、村の縁者のないお墓に花を供えたり、結婚式、お葬式に特別な声で
歌を歌ったりします。その歌を聞くと、皆なんともいえない気持ちになるのです。

ほうすけは、ときおり村で干した芋の小さなものとか、赤んぼの古いおしめなどを
持って行くようでしたが、村人は取るに足らない物として、許していました。
ところが、ある寒い晩、よきちじいさんの雌鳥がいなくなりました。
ほうすけに違いないと、村人は洞穴に向かいます。

布切れのぼろや干し芋位なら許していた村人も、雌鳥となるとそうもいかないと、
大騒ぎをして、ほうすけを痛めつけました。
この時、ほうすけは何かを守る為に、懐を必死で押さえていました。
春になり、ほうすけがよきちじいさんのところへやってきました。
黙って2羽のひよこを出して、去っていきます。
そして二度と、村に姿を見せませんでした。


オンライン書店ビーケーワン:ながいながいかみのおひめさま 「ながいながいかみのおひめさま」 
コーミラー・ラーオーテ文 / ヴァンダナー・ビシュト絵 / 木坂 涼・訳  アートン

インドの作家の絵本です。
パリニータという、長い長い髪のお姫さまが、いました。
その髪はとても素晴らしく、きらきらと輝き、さざなみのように波打ちます。
王様もお后様も、姫の長い髪が自慢でした。

ところが、姫はお城の外に出た事もなく、遠い山並みを眺めては、行ってみたいと思っていました。

王様は、姫の髪がお城の一番高い部屋から、地面に付くようになったら、盛大なお祭りを
行い、集まった王子の中から、婿を決めるようにといいました。
でも、姫はまだ結婚したくありません。祭りの当日、悲しい顔をした姫がいました。

姫は、決心してお城を抜け出しました。お城の外に出たのです。
お城の外はごつごつして、歩きにくかったのですが、パリニータは気持ちよく歩き続けました。
歩いていくと、裸の赤んぼを抱いた女性に会います。姫は、長い髪を差し出して、赤んぼをくるむ
布を織るように、言います。こうして、姫は困った人や動物に出会うごとに、自分の髪を差し出し、
とうとう、髪が一本もなくなりますが、気持ちは明るく、心の中に朝日がさしてきたようです。

やがて、パリニータは山の中へ姿を消しました。ときおり、パリニータの歌声が、風に運ばれて、
漁師の元に届きます。すると、漁師たちは微笑んで「ほら、おひめさまが うたってる!」と
いうのです。

絵は細かい部分まで描かれていますが、色合いが軽やかに明るく、重さはありません。
また、途中から姫自身の姿が、描かれず、周りの楽しそうな風景になります。
この絵によって、姫自身の心中を表しているようです。


オンライン書店ビーケーワン:さめびとのおんがえし 「さめびとのおんがえし」 
ラフカディオ・ハーン・げんさく / はなしま みきこ・さいわ / ふじかわ ひでゆき・え  新世研


不思議なお話です。
「さめびと」とは、「鮫人」です。竜宮で王様に使えていたのですが、些細な失敗で、
竜宮を追放されたのです。

お話の主人公「とうたろう」は、ある日「瀬田の大橋」上で、さめびとに会います。
さめびとは、皮膚が黒く、目は緑色に輝き、髭は龍のようにそり上がっています。
不思議な人だと思ったとうたろうは、その緑色の目がやさしさを湛えていることに
気が付くと、声をかけました。そして、さめびとの身の上を知り、食べ物と住む所、
さめびとにふさわしい池を、与えます。

とうたろうはその後、三井寺の「女人詣で」で、美しい娘を見初めますが、その父親が、
宝石を一万贈れるりっぱな若者でないと、嫁にはしないと、言っているのを聞きました。
とうたろうは、裕福でしたが、さすがに一万の宝石は用意出きません。
やがて、とうたろうは娘を思うあまりに床に就いてしまいます。さめびとは、池から
上がりとうたろうを看病しましたが、一向によくなりません。

とうとう、とうたろうは死ぬばかりの様子になりました。そんな時、とうたろうは
「私の命は長くない、それはいい。でも、残されるお前が心配だ」と、さめびとに
話しました。とうたろうの言葉は、さめびとの心の奥深く染み入り、血のような
涙を流しました。するとなんと、その涙が真っ赤な宝石に変わります。
とうたろうは、その涙を見て喜びました。これさえあれば、あの娘を、嫁にするのも
夢じゃなくなると。

さて、さすがのさめびとも、一万の涙はなかなか流せないと、一計を案じます。
そして、とうたろうとさめびとは、瀬田の大橋の上で、宴を催します。
さめびとは竜宮での楽しかったことなどを、きらめく湖を見て、思い出し泣きました。
そうして、宝石を一万集めたのです。すると、湖の彼方から音楽が聞え、竜宮が姿を
現しました。さめびとは王様に許されたのです。

とうたろうは娘を嫁に迎えることが出来ました。以後、さめびとを見た人はいません。

ちょっと、理不尽なお話のように思います。さらに、こんな娘なら心根も知れた物じゃないかと、
疑いたくもなります。ところが、それを補って余りあるほどに、絵が語ってくれます。
とうたろう、さめびと、むすめ、どの登場人物も真摯な心根の優しい人間であるように、
描かれています。
「ふじかわ ひでゆき」の絵は、静で美しく整った絵です。端整な絵が素敵です。
同じ作家の絵で「くもの糸」「樹のおつげ」があります。

おまけに、とうたろうが寝付いているときに、そばに白い猫が描かれています。
これがなかなかかわいいです。


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