是非読んで!!厳選!     絵本館Top

「1000の風 1000のチェロ」
「ちいさな ちいさな 王さま」
「ルピナスさん」
「おしえてウルトラマン」
「おじいちゃん わすれないよ」
「あたまにつまった石ころが」
「たいせつなこと」
「のっぽのサラ」「草原のサラ」
「わたしのくまさんに」
「聖なる夜に」
「父は空 母は大地」


オンライン書店ビーケーワン:1000の風1000のチェロ 「1000の風1000のチェロ」 いせ ひでこ作  偕成社
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1995年の大震災の3年後神戸で行われた、
復興支援コンサート「1000人のコンサート」
作者のいせひでこさんも、参加しています。
このコンサートに参加し、大震災の様子を絵本にすることが、
できたと、いうことです。
それまで、どのように絵本にしたらよいか、考えていたのだそうです。

内容は、グレイという犬のかわりに、チェロを弾き始めた少年ぼくと、
震災にあった少女、おじいさんが、それぞれの、震災を抱えて、
復興支援コンサートに参加するおはなしです。

わたしは、この絵本を2度朗読したことがありますが、
最後の場面で、泣かないように朗読するのが大変でした。



オンライン書店ビーケーワン:ちいさなちいさな王様 「ちいさなちいさな王様」 アクセル・ハッケ作 / ミヒャエル・ゾーヴァ絵    那須田 淳 / 木本 栄・共訳  講談社
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コーヒーカップくらいの背の高さの、ちいさな王さまが、ぼくを訪ねてきては、
様々な話をしていく、というお話です。
王さまは、人間とは逆で、生まれた時が一番大きくて、次第に小さくなっていきます。
でも、考え方は、大きくて、僕と星空を眺めている時も、僕は宇宙に比べて、自分を
小さな存在と考え、王様は自分が宇宙で、星はその中で輝いていると言います。

ふたりのやり取りが、哲学的でも分り易い喩え話になっています。
作者の意図が分かり易く、ドイツ人の考え方は、日本人と似ているのかなと感じます。
でも、王様の言うことが、なるほど、なるほど、と頷けて、読み進むうちに、
気持ちが楽になるような感じです。

また、ゾーヴァの絵も素晴らしく、絵を見るのも楽しみな作品です。
ゾーヴァの絵本は、もう一冊、こちらで紹介しています。



オンライン書店ビーケーワン:ルピナスさん 「ルピナスさん」 バーバラ・クーニーさく / かけがわ やすこ・やく  ほるぷ出版

 このお話を初めて読んだのは、紙芝居でした。ルピナスの花の色が、
とてもきれいで、印象深かったのを覚えています。
そして、わたしはルピナスさんに憧れて、庭にルピナスを植えようと
思いました。まだ、実現しませんが。

ルピナスさんという名前は、本当の名前ではないのですが、どうして、
そのように呼ばれるようになったのか、というお話です。
簡単に言えば、それで終わってしまいますが、一人の女性の
人生をたどり、自立した女性の強さ、優しさなどを描いています。

子ども時代に、おじいさんと約束した3つの約束「とおいくにへいく」
「としをとったら、うみのそばにすむ」そして、「世の中を、もっとうつくしく
するために、なにかしてもらいたいのだよ」と言うおじいさんに答えて、
「いいわよ」と約束しました。

その時には、何をしたらいいのかわからなかったけれど・・・・・。

その答えが、このおはなしのクライマックスです。



オンライン書店ビーケーワン:おしえてウルトラマン 「おしえてウルトラマン」  宮西 達也 作・絵  学研
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 宮西達也は、絵本の中に、お父さんを登場させました。
そして、このウルトラマンシリーズは、ウルトラマンが、恋をして、
お父さんになり、ウルトラセブンもパパになります。
一冊ずつ、別のお話ですが、シリーズとして、同じ家族が登場しますので、
楽しめます。
ウルトラマン世代としては、バルタン星人なんかも登場して、とてもうれしい
シリーズです。
 その中で、この本は、幼稚園生からお年寄りまでの質問に、ウルトラマンが
答えるというもので、ウルトラマンの人生相談になっています。
ひとつひとつの質問に、とても意味深く答えています。(と私は、思っています。)
人生に迷ったら、手にしてみてください。答えがあるかもしれません。



オンライン書店ビーケーワン:おじいちゃんわすれないよ 「おじいちゃんわすれないよ」 ベッテ・ウェステラ作 / ハルメン・ファン・ストラーテン絵 / 野坂 悦子・訳  金の星社
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「読者の皆さんへ」で、オランダの匂いがするという訳者の解説が載っています。
たぶん、オランダを知っている人なら、懐かしいのでしょう。

孫のヨーストという少年の目を通して、おじいちゃんのお葬式の日の様子と、
今までのおじいちゃんとの思い出が、平行して描かれています。
中には、楽しいおじいちゃんとの思い出がたくさんありますが、大人への
批判の目もあり、「するどいな」と思わずつぶやいてしまいます。

全体の絵がセピア色で、その中に赤い大きなハンカチが、象徴的に描かれています。
表紙には、おじいちゃんが作ってくれた海賊船が、赤い旗(赤い大きなハンカチ)を、
はためかせ、ヨーストとおじいちゃんが意気揚々と、乗り込んでいる姿が、描かれています。
文章を読んだ後は、表紙を見ただけで泣いてしまいました。



オンライン書店ビーケーワン:あたまにつまった石ころが 「あたまにつまった石ころが」 キャロル・オーティス・ハースト文 / ジェイムズ・スティーブンソン絵 / 千葉 茂樹・訳  光村教育図書
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「好きなことだけをしていて、食べていけるならば」と、誰もが思い、
そんなことはできないと、誰もが、何かしら食べていける職を選びます。
でも、それをしなかった人が、この本の作者のお父さんです。

石ころ集めが大好きなおとうさんは、友人や奥さんから
「あたまに石ころが、いっぱい詰まっている」といわれていました。
世の中が不況で、商売がうまくいかなくなっても、石集めをやめることなく、
また、石についての勉強もしています。
でも、結局、好きなことを手放さず、そのおかげで、
科学博物館に職を得ることができたのです。

こんな結果になる人は、稀なのでしょう。
でも、好きなことを手放さず、どんな時でも、続けていくことが、
大変でも、とても素敵なことだと、思い出させてくれる本です。



オンライン書店ビーケーワン:たいせつなこと 「たいせつなこと」 マーガレット・ワイズ・ブラウンさく / レナード・ワイスガードえ / うちだ ややこ・やく  フレーベル館
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良い本は、世紀を超えてということでしょうか。
アメリカで1949年に最初に出版され、半世紀以上も、
読み継がれてきた本です。
日本では、2001年にはじめて出版されました。

とても、やさしい言葉で、大事なことは
「あなたがあなたでいることよ」と語りかけてくれます。
何となく、ホッとした気持ちになれます。
絵もクラシックな色合いで、決して古びてなくて、
素敵です。

作者の二人は、コンビを組んで、絵本を作っていたようです。
1910年と1916年のお生まれ。
ブラウンさんは、1952年に亡くなられたと
書いてありますが、ワイスガードさんについては、書いてありません。
生きていらしたら、89歳のご高齢です。

また、翻訳物は、訳者の力量も問われます。
特に、詩の様な形式の文章は、難しいと思います。
うちだややこの訳は、とてもシンプルで、美しいという
(たぶん、原作の文章が)特徴を良く捉えていると思います。

まっすぐに「たいせつなこと」という題名が、
ちょっと、引っ掛かって、(お説教風はいやだな、
と、結構よさそうな感じの二つの考えで)手に取ったら、
大当たり!!みたいな感じでした。


オンライン書店ビーケーワン:のっぽのサラ  オンライン書店ビーケーワン:草原のサラ 「草原のサラ」 パトリシア・マクラクラン作 こだまともこ・訳 中村悦子・絵
「のっぽのサラ」パトリシア・マクラクラン作 金原瑞人・訳 中村悦子・絵

Amazon のっぽのサラ
Amazon 草原のサラ
良い文章は、子供用も大人用も無いという、良い見本です。
「草原のサラ」のあとがきにこの物語の文章は、「行と行の間に見えるものがある」
ところが良いと、と書かれています。
これは、物語の中でサラがパパの手紙を評していった言葉です。
まさに、この言葉がぴったりです。

「のっぽのサラ」で、お父さんの新聞広告をみて、草原へ海辺の女性が
やってきます。それが、サラです。この本は、子どもの姉の方が書いたように、
なっています。だから、子どもの気持ちが素直に現れているし、子どもたちが、
サラを気に入る様子もよく分かります。

でも、サラは海が忘れられなくて、戻ってしまうのではと、皆心配します。
サラは、海が忘れられずにいることは確かですが、それよりも、草原の家族と
一緒にいることを選びます。
そして、結婚式がありますよ、で終わります。

作者のマクラクランは、これで終わりのつもりでした。
ところが反響が大きく、是非続編をと言う声がたくさんありました。
そこで、書かれたのが「草原のサラ」です。

こちらは、結婚式から始まります。そして、雨の降らない草原の苦しみを
描き、しっとりとした海辺の様子も描かれます。

「草原のサラ」の原題は「Skylark」です。これは、物語の中で、
サラをひばりに喩えていることから、このような題になったと思われますが、
日本では、「草原のサラ」で、とても分かりやすいです。

「草原のサラ」で、とても素敵な場面があります。サラが地面に自分の名前を
書き込むところです。何度読んでも泣けてきます。
なぜ、名前を書くのか。読んでのお楽しみです。(^^ゞ

この物語は、まったくの想像ではなく、作者のおじい様とその再婚相手を
モデルにしているそうです。アメリカでは本当に新聞広告で、奥さんを募集?
するのでしょうか?

なお、「のっぽのサラ」は、1987年に一度出版されていますが、今回は、
2003年の訳に手を入れた、新しい物を読みました。


オンライン書店ビーケーワン:わたしのくまさんに 「わたしのくまさんに」 デニス・ハシュレイ/文  ジム・ラマルシェ/絵  今江祥智/訳 BL出版
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図書館で手に取ったとたん、いい感じの絵本と思いました。
中を見ずに表紙だけで何となく、素敵なお話だなと感じました。
(いつもそうだけど、今回の本は特に)
感じたとおり、何度読み返しても、その度に素敵だと思える絵本です。

あちこちの書評では、女性とくまの切ない友情と書かれていますが、
私は、本がもたらす幸せが、描かれていると思います。もちろん、女性とくまの
友情も描かれていますが。

森の若いくまが、森の中に避暑に来ている女性(若すぎず、年寄りでもない)に、
本の読み聞かせをしてもらい、秋になると、女性が置いていってくれた本を巣穴に
運び込み、冬の間中本を仲立ちに、女性の声を聞き続ける、というお話です。

この絵本は、不思議な副詞が使われています。そこが、とても魅力的です。
「くまはゆわんとふりむいた。」
この表現大好きです。本文中、ブルーの字は点が付いています。
こんな副詞が幾つか出てきます。普通使わないかなと思う言葉ですが、
使われている箇所では、表情や心情が伝わり、納得の使い方です。
でも、これは翻訳絵本なので原文はどんな言葉なのか、知りたくなりました。
(原文見ても分からないけど・・・(^^ゞ
翻訳者の素晴らしさです。

柔らかい絵の感じと共に、柔らかな文章も味わってください。

ここで突然、2004年刊行の絵本の私のベストスリー紹介(順位はありません。)
 「わたしのくまさんに」
 「なつのいちにち」
 「ぼんさいじいさま」
(少しの絵本しか見ていないでベストスリーは、乱暴ですが、
他の気に入りの絵本が出てきたとしても、この絵本たちを含み、
ベスト4、ベスト5、となると思ってます。)


オンライン書店ビーケーワン:聖なる夜に 「聖なる夜に」  ピーター・コリントン作  BL出版
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作者のコリントンは、イギリス・リンカーンシャ生まれとあります。
大学で美術と写真を学び、アニメ作品も描いているようです。

この絵本は、文字がありません。でも、絵だけで充分すぎるくらい、お話が分かります。
このおはなしは、言うなれば「イギリス版かさ地蔵」です。
ただし、1ページ目から出てくるおばあさんは、「かさ地蔵」の雰囲気の人の良い
おじいさん、おばあさんの感じはありません。
ひと目で今までの生き方が分かるような顔つきです。おそらくちょっと偏屈な所のある
おばあさんだな、と思わせます。

お金が無くて、クリスマスを過ごせないどころか、食べ物も無い状態です。
町でお金が稼げなかったおばあさんは、仕方なくアコーディオン売ってお金にしますが、
それをひったくられます。何と言う不幸でしょう。
引ったくりの男を追っていくと、教会へ。
男は教会の寄付金までもって行こうとします。おばあさんは、必死にそれを取り戻し、
倒された聖夜の飾り物の人形、マリア、イエス、ヨゼフ、羊飼い、東方の三賢人を
起こします。

お話が面白いのは、このあとです。かさ地蔵と同じ展開ですが、人形たちが本当に
動き回って助けるのです。
東方の三賢人は自分たちの宝物を売ってお金を得、それを持ってスーパーに買い物に
行きます。人の半分の大きさも無い人形のお買い物姿は、とても愉快です。
さらに、ヨゼフは大工さんですから、床を張りなおしたり、本当に面白いです。
最後のページ、おばあさんの家の(貨車の古物のようですが)上に奇跡の星が輝きます。

この絵本は、図書館で見つけましたが、平成12年度に購入されて以来、
誰も借りていませんでした。新品同様でした。
確かに、子供用の本棚にあるし、子ども向きとは思えないお話だし、
と言うことで、誰にも見向きされなかったのでしょうか。
もちろん、子どもが読んでもそれなりに楽しめるかも知れませんが、
この絵本は、ちょっと人生を知った年代が読むといいかな、と思います。
こんな絵本が、本棚に埋もれているのが勿体ないです。


オンライン書店ビーケーワン:父は空母は大地 「父は空 母は大地」 寮 美千子編・訳 / 篠崎 正喜・画   パロル舎
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1854年アメリカ政府は、インディアンと3年間の戦いの後、土地を買い、
居留地を与えるという申し出をします。アメリカ北西部のシアトル首長は、
迫り来る文明の嵐に抵抗する事は無益と判断し、条約に署名します。
シアトル首長は、条約を交わした際に、演説を行いました、その時の演説を絵本にしたものです。

絵本は、「ワシントンの大首長へ そして 未来に生きる すべての兄弟たちへ」
と始まります。

「どうしたら空が買えるというのだろうか?そして 大地を。わたしにはわからない。
風の匂いや 水のきらめきを あなたはいったい どうやって買おうというのだろうか?」

「あなた」は、ワシントンの大首長、つまり大統領(第14代フラクリン・ピアス)の
ことです。でも、それは未来に生きるすべての兄弟たち、つまり私たちにも呼びかけて
います。

「わたしは この大地の一部で 大地は わたし自身なのだ」
これが、インディアンが古くから考えていた自然との在りかたです。
おそらく西洋文明とは、根本から違う考え方でしょう。随所にこの考え方が
様々な言い回しで、書かれています。

また、「ひとつだけ 確かなことは どんな人間も 赤い人も 白い人も
わけることはできない ということ。」
世界中の人々はすべて隔てる事のない、人間同士ということです。それを
兄弟とも表しています。そして、自然界も兄弟です。地球上のすべてのものが、兄弟です。

シアトル首長は、自分たちが大事にした自然を、白い人たちも大事にしてほしいと
望みます。この演説で、大地と共に生きた私たちと同じく、大地に属した人間たち
すべてに、自然との共生を述べています。
     
この絵本は、オリジナルテキストをベースに、その精神を受け継ぎさらに
洗練された新しいテキストを参考にして、再構成したものですが、
どちらかと言えば、新しいテキストに近い形のものです。

絵は、日本人の画家です。どのような手法なのか言葉は知りませんが、
色を付けた後に、おもに白でペン画のように細かい線を入れてあります。
その細かい線が、光のように見え、きらきらと輝くイメージをもたらしています。
文章もメッセージですが、絵もまたメッセージとなっています。
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