やっぱり日本人   プラド展と天台宗国宝展にて  目次へ 

今年2006年は、年明けより見たい展覧会が目白押しにあります。
とにかく、新幹線の定期でも買おうかと、やや真剣に思う日々でした。(本気ではない)
何とか遣り繰りして、(というか、家人を半ば騙して)1月には「ゾーヴァ」を見てきました。
しかも、憧れの銀座のホテルに泊まったりして。
JR東日本の企画にとってもお安いトレイン+ホテルがあります。東日本さまさまです。
で、1月は「ゾーヴァの原画展」をじっくりと楽しんできましたが、何と3月末からは、
またまた、見逃せない展覧会が2,3つと続きます。
今回は、日帰りで行ってくるからと、真っ向から頼んで、出かけてきました。

毎年、元旦の朝に届く新聞で、今年の見逃せない展覧会をチェックするのを、
年中行事にして、今年も一年の計を正月に立てました。
計画では4月はじめに、プラド展と天台展は二つ同時に見に行きましょう、
ということにしていました。
2展日帰りで見るのは、とても疲れるので、以後は止めようと誓った日があるのですが、
それでは、本当に新幹線の回数券位は買わなくてはならなくなります。
今回は、覚悟を決めて、2展日帰りで決行することにしました。さらに、上宮太子家の
「天寿国繍帳」が特別展示される日程があり、予定日はかなり限られます。
つまり、3展を同時日に日帰りで見るので、かなりの強行軍になりそうでした。

去年も同様に3展を日帰りで見ましたが、去年の3展は、うち2展が展示物1点だったので、
ほとんど、ついでといえます。

当日は、雨でした。それも横殴りの嵐に近い雨でした。しかも、前後の日はとても
良いお天気で、上野へ出かける日だけ雨でした。何と運がないのでしょうか。
嘆くことしばし。

でも、かえって入場者が少ないかもしれないと、密かに期待して、東京都美術館に
向かいます。当然、順番は駅から遠い美術館からとなります。
期待は、期待に過ぎませんでした。大勢の人が、平日の雨の中、訪れていました。
といって、人ごみを分けるようにして、見なければならないほどではないので、
何とか、一つ一つの絵をじっくりと見ることができました。
素晴らしい絵が、次から次へ現れ、これが至福のときというものでしょう、と
いつも思います。

それにしても、人が多い。私は、身長148センチしかないので、(これでも、
少しさば読んでます。)人の後ろから、覗き込むのは至難の業です。
小さいと、人の間を縫って入りやすいように思われますが、絵というものは
背の高い人用に飾られているものらしく、照明が、必ず絵の中心に当たってしまい、
光って見えません。だから、他の人より、少し下がった位置で見ないと、見えないのです。
前に行ったり、後ろに行ったりして、ちょろちょろしながら見るのが、私の
見方です。だから、人が多いと、ひとつの絵に掛かる時間がさらに掛かってしまいます。

さらに、「この服すごいね。」とか、「これは有名な人の絵なの」とか、どうでもいい
会話があたりから聞こえると、つい心の中で、来なくていいのに、とつぶやいてしまいます。
ごめんなさい。きっかけは何でもいいから、見ることが大事だとは、思ってます。

憧れて見に行っただけはありました。プラド展は、素晴らしいの一言です。

さて、プラド展にあまり時間を使うと次がということで、さっそく、国立博物館へ。
こちらも、かなりの人でしたが、「天寿国繍帳」の展示館がわかりません。
とりあえず、本館ではないかとあたりをつけてみましたが、それらしい表示が無く、
しかたなく案内の方に尋ねました。
親切に案内の方は「法隆寺の宝物館です。行きかたは」と場所の説明を始められました。
でも、時間を気にしていた私は場所の説明はいらないので、「わかりました。場所は
知ってますから」と、さえぎってしまいました。ごめんなさい。でも、高校時代から
来ているので、古い建物の時から知っているのです。
でも、古い宝物館は晴天の木曜日しか開館しなかったから、入館したことはないのですが。

不思議な事を感じたのは、宝物館で仏像を見たり目的の「天寿国繍帳」を見ていた時です。
プラド展の疲れが、ふっと軽くなっていったのです。それも、仏像を見れば見るほど。
そして、つくづく感じました、わたしは日本人だと。

そして、「天台展」は、展示品もたくさんあり疲れて大変だと、覚悟してしていたのに、
最後の最後まで疲れが無く、ますます、気分が楽になるばかりでした。
やはり、プラド展は緊張して見ていたのでしょう。無理をしているのではないのですが、
西洋の異文化を理解する為に、五感はフルに働いていたようです。でも、そのほかの
日本のものたちは、やさしく体に溶け込むように、感じていたようです。
日本人である事を再確認してきました。

「天寿国繍帳」については、段を改めて。           目次へ